都城市で発生の意味(備忘録)
前のエントリーでは、現在取られている主要措置のうち、「移動制限」区域内では殺処分の遅れがあり、また、「搬出制限」区域内ではこれといった対策が取られていないこと、現場では非常に困難な状況の下ですさまじい努力が行われているが、現時点では予断を許さないとの内容を記しました。
本日は、大変残念なニュースが加わりました。
宮崎・都城の牛、口蹄疫検査陽性 200頭を処分
日本経済新聞 2010年6月10日
※当初は250頭との報道でしたが、正確には208頭でした。
宮崎県都城市(高崎町)で、口蹄疫が発生しました。記事中に地図がありますが、川南町を中心としたエリアとは離れた場所にあります。
都城市での発生は、いくつかの大きな意味がありますが、取り急ぎ「都城市および周辺地域」について、既報をもとにごく簡単に整理しておきます。まずは、読売新聞の記事を参照させていただきます。
「とうとう来た...」都城で口蹄疫、衝撃と落胆
読売新聞 2010年6月10日
同記事によると、「都城市は2006年の肉の生産額が牛151億円、豚225億円で、いずれも市町村別で全国トップの産地だ。市畜産課によると、市内では昨年2月現在、延べ2463戸で牛7万6585頭、豚39万8804頭が生産、肥育されている。これまで口蹄疫の被害の中心地で県内有数の畜産密集地とされた川南町でも飼育頭数は豚約14万5000頭、牛1万5000頭に過ぎず、飼育頭数は同市の半分にも満たない。」
とのことですが、これで、宮崎県の主要な畜産基地である2カ所ともに口蹄疫が発生している状態になりました。
また、都城市には、鹿児島県曽於市が隣接しています。何よりも都城市とならぶ日本有数の大産地であり、広くこの地域が「日本の畜産」を支えていると言っても過言ではありません。
それだけでなく、宮崎・鹿児島の県境をはさみつつも、曽於市は生活圏・経済圏として、都城市とのつながりが極めて深い地域。ウィルス拡散の最大の原因となる人や車の移動など、防疫上の課題もさらに増えます。
今回の発生は、都城市の中でも宮崎側の旧高崎町であり、また、発生を受けてただちに殺処分(殺して、埋める)が実施され、消毒などの体制強化が迅速に行われているようですが、川南町を中心とする対応と合わせ、当面は、あらたな「二正面作戦」の局面に入ることとなります。