タイ国の真実らしきもの その38 物売りの少女と弾むと光るスーパーボール
バンコクのKFC(ケンタッキーフライドチキン)で夜食を頼んでいると、見知らぬ12~13歳ほどの女の子が、ワーイ(タイの挨拶)をして話しかけてきました。
内容は、このスーパーボールを買って欲しいというものです。
正直どうかな、すぐに壊れそうだし、使い道もないので買わなくともよかったのですが、女の子の笑顔と、今の時間まで働かなければならない事情を察し、買うことにしました。
「わかった、買うよ」と私が言うと、満面の笑顔で「ありがとう、やさしい人」といいます。
「いくらだい」 と聞くと、すまなそうに「100バーツです。ごめんなさい」と答えます。
きっと、この少女は、この商品の本当の値段をわかっていて(私の感覚では、40~50バーツ)それでも商売として高く売らなければならないことに申し訳ない気持ちで一杯になっていたのだと思います。
私は、どうせならと思い「じゃ、2つくださいね」と話しました。
少女は、私の反応が自分の考えと真逆だったので(「きっと高いなあ」とか、「じゃ、要らない」とかしていたのでしょう。
私の話がすぐにはよく理解できずに、「2つだと200バーツですよ。良いですか」と私が2つで100バーツにしろと言ったと勘違いしていました。
私が「はい、じゃ電池の長くつかえそうなの選んでくれるかな」と言って、200バーツ渡すと、小躍りして、自分の鞄からよさそうな商品を選んでくれました。
私は、少女から2つの商品を受け取り、「試していいかな?」と尋ねると、「もちろんです」と答え、私はKFCの店内で、スーパーボールを弾ませました。
少女は、『絶対に光って!』と祈るように私の行為を見ていました。
私が弾ませたボールが両方ともきれいに光ると、少女はうれしそうに私に微笑みました。
少女は、「本当にありがとう」と再度私にワーイをし、別のお客探しに行きました。
それから、少女は5人ほどKFCの店内で声を掛け、KFCから出て行きました。
私以外は誰も買いませんでした。
きっと、今までたくさんの見知らぬ人に声を掛け、「いらない」と言われ続けていたのでしょう。
もしかしたら、私が本日最初のお客だったのかもしれません。
そんな想像をしながら、部屋に帰り、弾むと光るスーパーボールを暗闇で光らせると、少女の今までの事と将来の事が不確かな、だけど決して嘘ではない真実が見えてくるのです。
多彩に光る
今日はここまで、またいつか御会いしましょう。