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タイ国の真実らしきもの その10

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 今日はタイの田舎の話の続きです。

 ご飯をたくさん食べ、ドブロクをたくさん飲みましたが、時計を見るとまだ8時にもなっていません。

 友人は、せっかくだから少し散歩でもと言います。何もないこんなところでどこに行こうというのかと尋ねても、「まあまあ」とだけ言います。
 そして、家を出ると、なぜ友人が私を散歩に誘ったのか判りました。

 空が星で埋め尽くされています。
 空全体が星です。私にはすべて一等星以上に見えます。まさに満天の星空です。

 なんということでしょう。星のある夜って、本当はこんなにもすばらしいものなのですね。吸い込まれるような、星以外何も無い夜空、プラネタリュームでさえ、こんな夜空は見ることができません。人口の物は、本物には勝てないのです。

 どのくらい家の前の道で空を見つめていたでしょう。友人はそろそろ行こうと言います。

 どうやら、星を見せるだけでは無いようです。

 歩いていくと近くの河原に続く道に着きました。
 私は懐中電灯で前を行く友人を夜空を見ながら、付いていきます。

 友人が止まり、私に「ほら」と声を掛けます。

 私が夜空の星から地上に目を移すと、そこには夜空以上の星が見えるではありませんか。

 日本では考えられない。いや、どこでも考えられないほどのが私の周りを飛んでいます。とても強い光の豆電球ほどの蛍が一定の間隔で点滅しています。

 そのやさしい光に私は「わあ」と声を上げたほどでした。
 空の星の美しさもすばらしいが地上の星もすばらしい、なんだか、この世では無いような雰囲気です。

 まるで変な話ですが、あの世に行く時に通る川というのはこんな風景なのではないでしょうか。とても不思議な気持ちになり、私は夢でも見ているような気持ちで地上の星と空の星を交互にゆっくりを眺めました。

 電気があったら見ることのできない美しいもの、自然がそのままだから見ることのできる美しいもの、私にはこの上ない贅沢な時間でした。

 今日はここまで、またいつか御会いしましょう。

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