続・オンライン・ショッピング時代の勝者と敗者・・・英国篇
シリーズものにする予定はなかったのですが、いろいろとニュースがありましたので、続編を。(1ポンドは222円です)。
まず、イギリスの大手スーパー、テスコのオンライン・ショッピング部門の売り上げが、上半期(3-8月の6カ月)で、前年同期比28.7%増の5億5400万ポンドとなりました。同部門の利益は43%増の3380万ポンドに。またテスコは、生鮮食料品に加えて、雑貨類のオンライン・ショッピング"Tesco Direct" ( http://direct.tesco.com/ ) を始めました。
ちなみにテスコは、イギリスのほか、日本も含め12カ国に店舗を出しています。日本とハンガリーは苦戦しているようですが、その他の国では、売り上げも伸びていて、テスコ・グループ全体の売り上げは、12.7%増の227億ポンドに達しています。テスコは、一昔前は、「腐った肉を売っているスーパー」と馬鹿にされていましたが、いつの間にか、イギリスを代表するスーパーへと成長してしまいました。世界戦略も、アメリカのウォルマートのような押しつけ型ではなく、地元の市場特性にあった戦略を採用しているのだそうです。
百貨店のJohn Lewisもオンライン・ショッピングが好調で、店舗の売り上げよりも、オンラインの売り上げの方が多いそうです。そして、最近になって金融と旅行関連のサービスも"Greenbee" ( http://www.greenbee.com/ ) という名称のサイトで、オンラインにより提供しています。
レコード量販店のHMVは、CDやDVDの小売価格を半額程度にしたところ、売り上げの減少に、やや歯止めがかかったそうです。小売価格をCDが5ポンド前後、DVDが10ポンド前後にしたところ、第2四半期の売り上げは前年同期比5.4%減となり、第1四半期の同16.7%減に比べると減少幅は、小さくなりました。CDやDVDの小売価格を下げることで、販売枚数が増えたと言えそうです。小売り店舗であるHMVは、音楽のダウンロード販売とも競合しているわけですが、ある程度のところまで小売り価格が下がれば、ダウンロードではなく、CDを選ぶ消費者も増えてくるのではないかと思います。
またHMVの傘下にある書店チェーンWaterstone's ( http://www.waterstones.co.uk/ ) は、アマゾンに頼らずに、自社サイトを通じて書籍を販売することにしました。サイトの中に読者のためのクラブを作り情報交換の場とします。また、それぞれの店舗のマネージャーに、店頭に並べる本の選択やイベントを独自に行う権限を与え、店舗毎の地域色を強め、それをインターネットで広めていくのだそうです。
家庭雑貨販売のWoolworths ( http://www.woolworths.co.uk/ ) は、お客さんが、オンライン・ショッピングで購入したものを、店頭でピックアップできるサービスを始めるとのこと。また、カタログ・ショップのArgos ( http://www.argos.co.uk/ ) は、配達のサービス向上を図ることと、一部の地域で郵便局(ロイヤル・メール)の窓口で商品をピックアップできるようにするそうです。
今年のクリスマス商戦に向けて、オンライン・ショッピングに対する各社の取り組みが進んで来ています。実は、イギリスでは、何年か前のクリスマスにも、オンライン・ショッピングがブームとなったのですが、その時は、イギリスの配達事情の悪さから、注文したプレゼントが、クリスマスまでに配達できないことがわかって、あわてて買い物に出かけた人が数多く現れたことがありました。それで、オンライン・ショッピング対する信頼感が失われたのですが、最近また、復活しつつあるようです。ういう意味では、現在のイギリスは、第二次オンライン・ショッピング・ブームを迎えつつあると言えます。
[追記]
今日気がついたのですが、日本のラストミニットドットコム(
)は解散したようですね。イギリスの本家は、もちろん事業を継続しています。