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一口に広報といっても内容はさまざま。現場での広報活動の実際をご紹介します

企業における広報のポジショニング

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貴社の広報部門は、組織上どこに設置されていますか?
企業の規模や上場しているかどうか、外資か国内企業か、などによって、広報のポジショニングはさまざまです。よくあるのが、経営層と直接つながっている社長直下ライン、社長室や経営企画室の下にあって間接的に経営層とつながるライン、それからマーケティング部の下に宣伝部門と並んでいるケースなどです。また大企業の場合には、事業部ごとに製品やサービスに関する広報機能を持つ場合もあります。

■社長直下の広報部門
どのケースが最適かと言い切ることは難しいのですが、個人的な見解ですと、社長の直下に置かれている広報部門がもっとも企業全体の動きを把握しやすく、バランスの取れた「コーポレート広報」の活動がしやすい環境なのではないかと思います。間に社長室やマーケティング部門などが介在することで、メッセージの鮮度が落ちたり、時間的なロスにもつながるからです。実際、私が経験した中では、社長の考え=企業のメッセージであることが多いため、日ごろ社長の語る言葉を聞いておくことで、広報が自分の言葉で会社を語ることが容易になります。

■マーケティングに所属する広報部門
また、製品・サービスの広報という観点から見た場合、マーケティング部門に所属している場合がもっとも有効な広報活動が行えると思います。外資系企業の場合などでは、マーケティング部門の担当者が本社と直接コンタクトを取り合っているため、いち早く製品情報が入ってきます。さらに、マーケティング担当と行動を共にすることで、製品への愛着や理解が深まったりもします。広報活動を行う際にも、気持ちのこめ具合が違ってくるものです。

■事業部ごとの広報
事業部ごとに広報機能を持っているケースでは、企業全体を見る「コーポレート広報」と連携をとる必要があります。事業部が自由にメッセージを発信したのでは、企業として統一が取れないからです。一方で、事業部で新製品などの発表を行いたい場合でも、社内の優先順位に従って発表の待ち時間が発生することもあり、タイミングを逸するようなケースがないともかぎりません。これも私見ですが、ある程度の広報的な裁量を事業部にも持たせることで、スピードの劣化を避けられるのではないかと思います。一企業から同日に複数の発表を行うことは、ニュース掲載を取り合う結果となりますから、「コーポレート広報」で管理をする必要がありますが、個別の取材依頼やコミュニケーション活動は、事前に方向性を取り決め、事業部が独自で進めることもありなのではないでしょうか。もちろん、正確な情報提供やフォローのためには広報担当者の同席が望ましいのですが。

■ベンチャーでマーケティング業務と兼任の場合
上記とまったく異なるケースとして、ベンチャーでマーケティング業務と兼任している方も少なくありません。少人数のベンチャー企業では、専任の広報担当者を置くことはむずかしいですから、仕方ないことです。この場合のメリットは、マーケティング活動全般を把握する中で広報活動が行えることです。誰に問い合わせることもなく、メッセージの作成、伝達、判断を同時に行うことができます。一方でデメリットは日々の締め切りに追われて積極的な広報活動に専念できないことです。こういう場合に、広報代理店や広報コンサルタントに外注する例が多く見られます。

個人的には、大企業に勤めた経験がないので、事業部ごとの広報活動に関する知識が不足しています。事業部とはいえ、ひとつの会社ほどの規模があると思いますので、ご苦労も多いかと思います。みなさんの経験談などお聞かせいただければ嬉しいです。

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