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知財、ユビキタス、企業コンピューティング関連ニュースに言いたい放題

本当に差別化に結びつくような重要事例なら公表されないはずである

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堀内さん、そして、高橋さんのブログで、データウェアハウスによる分析の「紙おむつとビール」の有名な事例は実際の事例ではなかったという話題が挙げられてます。正直知らんかったです。ただ、この事例は事例というにはちょっと手垢が付きすぎて最近は話題にされることもなかったと思います。

私が聞いた例だと、日本のコンビニで「少年ジャンプを買う人は焼肉弁当を買う可能性が高い」というのがありました(何となくわかります)。そのコンビニでは、ジャンプ発売日には焼き肉弁当の仕入れを増やすそうです。まあ、これも都市伝説かもしれませんが。

しかし、もちろん、これはデータウェアハウスによるバスケット分析に意味がないということではありません。当然のことながら、現実の小売業では「xxx買う人はyyyの買う可能性が高い」という数多くのデータが判明しているはずです。ただし、本当に差別化に結びつく重要なデータは当然社外秘になるでしょう。ということで、世の中で通説として言われている話は、適当に作ったでっちあげか、常識化していてもはや差別化に結びつかないようなものということになるのでしょう。

以前、ウォルマートに関して取材をしていた時に、「ウォルマートに関して世の中に出ている情報は5年前のものだと思った方がよい」と言われました。ウォルマートは社内ITの情報をあまり公開しないことで知られています。最新情報は公開できないが、5年くらい経てば公開してもよいという発想なのかもしれません。ということで、メディアやコンサルタントの情報だけを頼りにウォルマートのIT戦略を分析して追随しようとしても彼らは既に5年先を行ってしまっているということになるわけです。

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