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BEatBuddyについて

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PC Watchで本田雅一さんが、BEatBuddyという音楽サービスについて書かれています。SNSにおいて、お友達に自分のお気に入りの曲のプレイリストを公開し、ストリーミングで聴かせてあげられる(ダウンロードはできない)というサービスです。以前紹介したlala.comに似てます。アナログの時代には当たり前であった、カセットテープに自分のお気に入りの曲を録音して友達にあげるという音楽普及の方法を再現しようとするサービスと言えます。

では、権利関係はどうなっているのかというと本田さんの記事によれば、

サービス内容の詳細をJASRACにも申請済みで、著作権の扱いに関して問題なしとのお墨付きをもらっているという。

となっています。しかし、日本においてこの種のサービスを行う場合に権利関係で問題になるのは著作権(JASRAC管理)ではなく、著作隣接権(各レコード会社管理)です。著作権、つまり、作曲家・作詞家の権利をクリアーするだけならば、JASRACに利用料を払えば済みます。ストリーミング方式の場合では、収入の3.5%を払えばすみますので、まあ、妥当なところかなとも思います。

問題は、著作隣接権の方で、これは集中管理機関がないので、各レコード会社に直接交渉しなければなりません。利用料の規定があるわけでもないので、各レコード会社と個別に条件交渉する必要があります。一方、米国であれば、SoundExchangeというワンストップショップの機関があるので、CD音源を使ったネットラジオ系のサービスの展開はかなり楽です(これについて書いた過去のエントリー)。

本田さんの記事にも、BEatBuddyのサイトにも著作隣接権に関する記載がないですし、そもそもBEatBuddyはクローズドα版としてサービス中で自分はログインできませんので、詳しいことはわかりませんが、ひょっとしてお友達にしか公開しないので公衆送信にはあたらないという判断なんでしょうか?しかし、MYUTA判決にもあるように、現行の著作権法上の解釈では、誰でもお友達として登録できる状態になっているのであれば、仮に特定のお友達にしか公開しないのであっても、公衆送信であると解釈されてしまう可能性が高いでしょう。

ネット上で音楽をシェアーする(もちろん、勝手なダウンロードはさせない)というサービスは音楽ファンとしても楽しめますし、CD販売に対するプロモーション効果もかなり大きいと思いますので、是非、この種のサービスが日本でも普及してほしいと思っていますが、権利関係について見切り発車するのだけはやめておいた方がよいと思います。日本でもSoundExchangeのような組織ができれば問題ないんですけどね(もちろん、利用料が高い・安いの問題は生じ得ますが)。

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