米国のネットラジオとSoundExchangeについて
前々回のエントリーで、日本ではレコード会社の権利の関係により、市販CDを流すタイプのネットラジオの開設は難しいという話を書きました。
では、米国ではどうなっているかというとSoundExchangeというRIAA(全米レコード協会)の下部組織があり、ここに申請して規定のライセンス料を支払いさえすればネットラジオの営業が可能になります。実質的にレコード会社側に禁止権がなく報酬請求権となっていること、および、権利関係処理がOne-Stop-Shopになっている点で日本と全然違います。last.fmは英国の会社ですが、英国でも同じような仕組みになっているのではと思います(ご存じの方いたら教えてください。)
先日、そのライセンス料金が大幅値上げされようとしているということで大問題になりました。Pandoraにメアドを登録してる人には「ライセンス料値上げでビジネスを継続できなくなるので、地元の議員に働きかけて値上げ阻止をお願いしてくれないか」という趣旨のPandora設立者からの悲痛なメールが届いていたと思います。
このライセンス料値上げは、特に小規模ネットラジオにとって打撃が大きかったわけですが、結局、小規模局については暫定的に据え置きというような形で一応解決したようです(参照記事)。
というわけで米国においても問題なしというわけではないですが、ライセンス料金が高い安いで争うという問題は、そもそもライセンスしてくれない(および、一括交渉窓口がない)という問題よりはるかにマシでしょう。
あと、日本のネット局でも直接SoundExchangeにライセンス料支払いをして運営しているところもあるようです。輸入盤のみをプレイしている限り、権利者には規定の対価が回りますので、常識的には問題ないように思えますが、日本でのルール上はどうなるのか微妙な気もします(これも詳しい方いたら教えてください)。
ところで、Pandoraからのメールにもあったように、米国では消費者として権利主張する際には、有権者として議員に働きかけるというパターンが結構あります(私も留学中にそういうメールをよくもらいました(選挙権がないので自分ではどうしようもなかったですが))。間接民主制としては当然の姿ですね。だけど、日本で地元の議員の人に「日本でもネットラジオを開設しやすくできるように著作権法改正して下さい」と陳情したら、どういう反応が返ってくるのでしょうかね?
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