ユーザ不在のシンクライアント化を「阻止」したい
シンクライアントがなぜ注目されているのか。それは一言で言えば、シンクライアントならセキュリティーが確保できると思っているからだ。シンクライアントを推進している人たちはだれかというと、パソコンはセキュリティーに問題があると喧伝して、新しいハードを売りたいと思っているメーカーと、それに踊らされている大企業ユーザのインフラ部門。そしてターミナルサービスなどのミドルウェアを提供しているベンダーだ。ニュースがないと商売にならないと思っている、一部のマスコミもそうだ。
そこにはユーザは不在だ。
セキュリティーは、RIA(リッチクライアント)技術を使えば、パソコンでもまったく問題なく確保できる。もちろん操作性は落とさないし、レスポンスも確保したままで。しかもサーバの負荷は三分の一以下にできるから、グリーンITに寄与できる。
企業の情報システム部門の方に、よくよく考えて欲しいことがある。もしあなたがエンドユーザで、これまで使っていたパソコンを取り上げられ、シンクライアントを与えられたらどうしますか。仕事ができる人ほど困り、きっと自分のパソコンを仕事に使うようになるでしょう。私の知り合いの、有能なビジネスマンは、だいたいそう言ってます。それも禁止となれば、転職を考えるかもしれません。自主的にパソコンを駆使出来ないような会社で悶々と働くより、自由に働ける環境で思い切り働きたいと思うのは自然ですから。それほどパソコンは仕事に密着しているのです。
できる社員が、馬鹿らしくなって辞めていくような、管理ばかり強化した組織には、もはや魅力はありません。
一番大事なのはユーザです。ユーザを守りきり、よりよい環境を提供するのがITに働く人の役割です。パソコンでもセキュリティーは守れます。
シンクライアントでもいいのは、立ち仕事や、複数人で使う業務用専用端末だけです。それも、6万円で買えるパソコンが出れば、パソコンとしては使えない、中途半端なシンクライアントに代える意味すらなくなってしまいます。ここは冷静に考えましょう。