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プログラミングでメシが食えるか!?

書評:エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢

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久しぶりの書評です。

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先日、著書でお世話になっている技術評論社の担当の方から献本いただいた「エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢」を読みました。

ソフト開発技術者としてアメリカで実際に働き、レイオフや転職も経験した著者の方ならではの内容満載で、こういう経験談が一番好きな私としてはとても興味深く読むことができました。

例によって要約してしまうのは嫌いですので、内容は是非手に取って読んでみていただきたいと思います。ここでは個人的な感想や考えたことを書いておきます。

まず、採用までの過程が日本とはだいぶ違う点にビックリしました。まず電話での面接で、そこでコーディングなど技術的な内容まで見る点。さらに、会社を訪問しての面接は、丸一日順番に個人面談を繰り返し、そこでもコーディングなどの実技を見る点。

最近、私の会社では基本的にソフトウェア技術者を採用する際に、応募いただいた後、まずはメールでプログラミングの課題を出し、1週間くらいでソースコードなどを提出していただき、内容をメンバー達で確認した上で来社していただくスタイルにしていますが、それでも他社に比べると厳しすぎるかと思っていたのですが、アメリカははるかに厳しいですね。電話や面接で、その場でコーディングを見られるというのは、課題を出されて期間をもらって回答するよりはるかに難易度が高いと思います。もちろん、当社の課題はその場でできてしまうほど簡単ではありませんが・・・。本書の例では、「仮想関数」「ハッシュ関数」「再帰」「計算量」などの例が出ていました。

この本の著者の方は学歴も情報処理専攻で修士まで出ていますので、アルゴリズムの話しなども広く身につけている方なのだろうと想像しますが、私のように情報処理関連は全て独学というタイプにとっては、この手の課題は分野の偏りが激しく、得意な分野ならいくらでも即答できますが、そうでないと全く回答できないという状態になることが予想でき、私ではまず受からないでしょうねぇ・・・。とはいえ、当社の私以外のメンバーを想像すれば、その手の話題は当たり前のように答えられる気がしますので、単に私が無知なだけという気もしますが。

また、アメリカでは募集する際に役割を明確に募集することが当たり前のようで、日本の、いわゆるできる人を採用しておけばどの仕事でも活躍してくれるだろうと考えて採用するのとはまた少し違うのかな、とも感じました。

アメリカでも、一生技術者として生きていくのか、管理者になっていくのか、などの選択は日本と同様にあるようですが、日本よりははるかに技術者としてのキャリアアップが整っているようですし、そもそもIT関連は嫌われる職種の筆頭という日本に比べて、アメリカでは尊敬される職種のようですし、ソフト開発技術者として生きていく人にとっては日本よりも居心地がよいのかも知れません。私も若い頃ならそういう道も楽しそうだっただろうな、と思いますが、私の場合は30歳前から事業を立ち上げていましたし、リーダーとしてメンバー達を放り投げて自分だけの道を選ぶことはできない立場でしたので、まあ、やっぱり一人で海外に出て行くようなことは難しい選択だっただろうな、とも思うのでした。技術者としての道を貫くのも楽しいでしょうし、技術を活かして事業を立ち上げ、優秀な仲間達と事業を盛り上げていくのもまた楽しい道です。きっと、どの道を選んでも楽しさはあるのでしょうけれど、いずれにしても仕事は一人でできるものではありませんので、著者の方も書いていますが、仲間を大切にすることはどの選択でもとても大事だと言う点はとても共感できたのでした。

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