マネージメントのポイントは「切れないこと、先走らないこと」だけ・・・
先日、ある方と、書店のリーダー・マネージメント系の売り場で話をしているときに、「リーダーシップとかマネージメントに関してはどうすればうまくいくと考えてます?」というような感じで聞かれました。
書店のリーダー・マネージメント関連売り場は、よくこれだけ本が出ているな、と感心するほどたくさんの本があり、切り口も、分厚さも、内容の濃さもさまざまです。私自身も、「プログラミングでメシを食わせろ!!」「ドジっ娘リーダー奮闘記」
と、リーダー向けの本を書きましたが、あの頃は説教臭さ満載という感じでした。
その後、自社のリーダー達が育ってきて、自分自身も歳を取って、少し落ち着いて考えると(というか、開き直ってみると)、結局大事なことは次のポイントだけではないか、と思うのです(また数年後は意見が変わっている可能性は高いですが)。
・切れない
・皆が言い合いを終えるまでは結論を出そうとしない
それだけ?って感じですが、リーダーシップはともかく、マネージメントはこれを心がけるだけでかなり良くなる人が多い気がしています。
その背景には、ディスカッションの場で切れてしまう人が結構多い、ということと、先走ってしまうために納得してもらえないことが多い、ということを感じることが多かったからです。
細かなテクニックをどれだけ持っていても、切れたり先走りすぎたりすると、結局ぶちこわして終わるものだということです。
10年以上前、ある大きなプロジェクトに孫請けで参加していました。大手SIerだけでも数社が参加していて、それぞれ下請けをたくさん使っていました。私が参加した最初の全体ミーティングが始まると、各社のマネージャー達が「そこはうちの範疇ではない」「あれはおたくが担当だ」と、それぞれ勝手な意見を言い合っていました。全体を統括するマネージャーは「はあ」と聞きながら、ホワイトボードにメモを書くくらいで、私は「このマネージャーではこの場を収拾できないのでは?」と心配して見ていたのですが・・・
各社がそれぞれ言い分を吐き出し終わったあたりで、統括マネージャーは「意見はだいたい出そろった感じですね。では、この件は意見をまとめるとこうすれば良いということで・・・」と、順番に、なんの荒波も立てずにまとめていったのです。各リーダーは、すでに意気込んで言いたいことは言い終わってますし、それぞれの意見もホワイトボードで見渡せるので、感情的になることもなく「仕方ないですね、そうしましょう」という感じに、納得していったのです。
最後まで議論に口を出さないというのは、実は私も昔からやっていたことで、メンバー達からは「美味しいところだけ持っていく」と嫌がられていましたが、私は、意見が飛び交っている間は、まず説得はできないものだと思っています。メンバーやお客さんが言いたいことを言い終えるまでは、ほとんど黙って聞いています。私は頭を使いすぎると頭痛がひどくなる体質なので、下手すると前半は聞きもしません。で、なんとなく場が落ち着いてきた感じの時になって、「要するにこういうことですよね?」とまとめると、すんなりと全体が納得して終わるのです。
相手が腹を立てているときにも同じ作戦でいけます。とにかく、まずは全部文句を言ってもらうのです。その間は決して反論しません。どれだけ熱くなっていても、言うことがなくなるとまずは落ち着くのです。それからでないと冷静な話はできないものです。
ということで、細かいテクニックより、「切れないこと、先走らないこと」を意識する方がはるかにマネージメントがうまくいくと思いますし、リーダーとして引っ張るときにも同じだというのが、今の私の結論なのでした。