開発仕事のあまりにもぶっ飛んだ考え方!?
今日は一日外出で、タイ出張から戻っても休む暇がない状態が続くのですが、1件目の打ち合わせはProDHCPでこんな案件に対応できないかという相談でした。すでに2回目の打ち合わせですが、今のProDHCPのままでは対応できず、しかも、現在世の中に存在しているDHCPサーバではまず対応できるものはないだろう、という感じの内容です。
製品に対する機能追加のご相談はどの製品でもあるのですが、どう対応するかで2通りあります。
・製品をベースに特注品を作る。
・製品自体に機能追加する。
前者の場合は、製品とは別の管理となり、以降のバージョンアップに追従は基本的に難しくなります。受託開発に近い状態となります。お客さんによっては、それでも他社にその機能を使わせたくないという理由でこちらを選ぶこともありますが、費用も特注なので高くなります。
ほとんどのお客さんは後者を選択します。この場合に問題になるのが、開発費を別にいただくかどうか、という点です。基本的に、汎用的な機能で、なおかつ、時期もこちらに任せてもらえる場合は、追加費用はいただきません。機能が他のユーザに使われないだろうというものや、急ぎの対応の場合は費用をいただくこともあります。また、お客さんによっては、契約をきちんとしたい(完成する約束が欲しい)ので、開発に関する契約を締結すると共に費用も支払うことを希望されることもあります。
当社の場合は、いずれも臨機応変に対応していますが、毎回言われるのが、「製品自体も安いが、カスタマイズもゼロが1つ足りないのでは?と思うほど安い」という感じのことです。
当社の場合、ProDHCPのように、そもそもDHCPサーバを完全自社開発している会社はほとんどない、という製品や、あるいは昨日紹介した、ソリトンシステムズさんとの共同開発製品:Smart BigCacheのように、非常にチャレンジングな開発、という感じの仕事が多いので、やろうと思えばいくらでも「ぼったくる」こともできるでしょう。しかし、私は技術者でもあるので、「自分だけ儲ければ良い」という考えは嫌いです。どの製品も自分だけの技術だけでできているわけではありません。オープンソースの存在もとても大きいですし、他社の製品の力も必要です。従って、自分自身も多少なりとも社会還元するのが当たり前だと考えています。本当は何でも全部オープンにしたいくらいですが、さすがに会社として維持発展していかねばならないため、そのバランスを考えるのは毎回悩むところです。
ソフトウェアの価値は本来、利用者が決めるものだと私は思っています。開発側が例えば1年苦労したから1年分の工数を、というのではなく、そのソフトウェアがあることで、どれだけメリットが生み出せるのか、で価値が決まるものだと思います。そういう背景もあり、「開発費の見積を」と言われると返答に困るのです。大抵、「予算を教えてもらえれば、その範囲でできるかどうかを回答します」と答えます。しかも、「基本的にはできる自信があるので、予算がいくらでも引き受けるつもりです」と。この回答が大抵「あり得ん回答だ(と喜ぶ)」とビックリされるのですが、私はこれが正しい姿ではないかと思っています。もちろん、こう回答する背景として、「会社が日銭に困っている状態ではない」「相談内容は先々へのノウハウにもなる」「得意分野なので、どう考えても損はない」「相手の方と意気投合できる」という状態があるからです。
開発はやってみなければわからない要素も多く、作ってみても本当に役立つかどうかもわからないことが多い気がしています。当社で製品を作るときにも全くその通りです。従って、まずはプロトタイプ開発から小さくスタートし、進めながら様子を見ていきたいものです。それはお客さんも一緒だと思っています。最初に莫大な開発費が必要となるとそれができなくなります。それが私としてはもったいないので、最初からたくさん費用をいただきたくない、ということもあります。「そのかわり、後でうまくいったら、山分けしようね」というくらいの方がお互い立ち上げやすいと思っているわけです。もちろん、やってみてダメだった、ということもありますが、それもお互い痛みを分け合えば良いだけですし、やってみなければ次は見えてきません。
ということで、開発の相談をいただくたびに、私のぶっ飛んだ回答にビックリされるのですが・・・でも、このやり方で立ち上がった製品は実際に多いですし、逆にやってみてダメだったというのはほとんど思い浮かばないのですよ。こういう我が儘を言えるのも、単なる下請け仕事から、製品を中心とした提案型にビジネスを転換したおかげだと思っています。自分自身もやっていて楽しいですしね。これからもますます思い入れの強い開発仕事をしていきたいものです。
さて、明日からInteropです。ぶっ飛んだ進め方で誕生した透過型キャッシュシステム「Smart BigCache」の展示がソリトンしテムズブースでありますので、私も明日は見に行こうと考えています!