開発者が直接現場に関わるメリットは?
昨日からのProDHCPリリース徹夜立会は無事、ノートラブルで完了しました。まあ、ノートラブルなら立ち会わなくても良かったじゃない、という結果論もあるのですが、今回のお客さんのDHCPリプレースは実は数年前にSIerさんがオープンソースで入れ換えようとして失敗し、切り戻していたということもあり、失敗は許されない状況だったことと、担当のSIerさんがProDHCPをはじめて採用してくれたということで、立会の必要性が高かったのでした。
今回は提案段階から設計、そして構築、立会と全て私が関わったのですが、インターネットの基幹部分で使うシステムで、開発した本人が直接関わるというのはとても珍しいことでしょう。ほとんどの製品は海外からの輸入物で、そもそも開発者が直接関わるのは無理でしょうし、国産でも開発者が直接現場に行くことはまずないでしょう。
お客さんの立場からすれば、開発した本人が現場にきてくれるほど心強いことはありません。何か起きてもすぐに解析できますし、すぐに対処もできます。相談にもすぐに答えられます。それなのになぜそうしないかというところですが、まあ、それはそうしていないメーカーに答えてもらわないと正解にはならないので、私は書かないでおきましょう。
いずれにしても、ほとんどの製品がそのようなことをしていないからこそ、私は現場に行きたいと考えています。よそと違うことをするのは中小企業の鉄則です。それでお客さんが喜んでくれるならなおさら良いことですし。開発者自ら、あるいは社長自らというのがほとんどないからなおさらやるのです。
まあ、私が現場に関わる本当の理由は他にあります。
ちょうど坂本さんが同じようなことを書かれています。
『
Sさん:「代表取締役がわざわざこんなところにまで?」
私:「はい。私はCACHATTOのデモ要員なので(笑)。
実際にヒントをいただくには直接お話しするのが一番なのです。
この会社は13年、CACHATTOはもう10年もやっているのですよ」
』
そう、お客さんと直接話しをするためなのです。エンドユーザさんともSIerさんとも話しを直接することに価値があるのです。「お客さんは何に困っているのか」「何が不安なのか」「現場作業ではどこにひっかかるのか」「どういう時にお客さんはよろこぶのか」それらは現場に行かないと分からないのです。
さらに、構築や設定作業も自分でお客さんの目の前でやってみると良い勉強になります。どういう操作で不安になるか、どういう操作はお客さんの前でやりにくいか、お客さんと一緒に確認するにはどういうやり方が納得してもらいやすいか、など、現場でやってみないとなかなか感じられないものなのです。
製品は開発を終えた時点ではまだ製品事業全体の1割も達成できていない状態でしょう。実際に現場で使ってもらい、お客さん・現場に育ててもらって実績が出来てようやく一人前になっていくのです。そう考えると、現場に行くのは「勉強させてもらいに行く」ようなものなのです。もちろん、お客さんも喜ぶことなのでそれ自体もサービスになっているのですが、ビジネスの基本は「双方にメリットがあること」です。
技術者はコミュニケーションが苦手で、出不精、というイメージがあります。実際にそういうタイプの人が多い気もします。なので、なおさら現場に出ていくと良いのです。「技術力がある人が現場にまできてくれた」と、ぎこちないコミュニケーションしかできなくても喜んでもらえるものです。差別化を考えるときには、とにかく「普通と逆の発想」です。