ソフトウェアも開発者明示とか良いのでは?
長年ソフトウェア開発の仕事をしてきて、社会人になった頃から納得できずに変えたいと思い続けてきたことがあります。
「誰が作ったのかを明示できないこと」
です。
社会人になった当時は、CADシステムの開発販売を担当していましたが、上司から、「開発体制は?と聞かれたら、20名でやっていると言うように」と指示されていました。実際は私ともう一人の2名です。「たった2名でCADシステムの開発などできるわけがないと思われる」「大勢でやっていないと不安がられる?」などの背景があったのだと思いますが、私としては「それなら20名分の給料を二人にくれないのはおかしい」と思ったものでした。まあ、待遇はともかく、本当に二人で頑張っているのに、そのがんばりが1/10に薄められたような、嫌な気分だったものです。
その後、受託開発などをやるようになり、大抵の仕事で「開発体制は?」と聞かれたものです。うるさいところだと、「**の資格保有者は何名、という感じに内訳を出せ」とまでいわれることもありました。
しかし・・・そんなに体制って重要なのでしょうか?
製品開発販売を立ち上げてからも、「体制は?」と聞かれたことは何度もあります。既に年を重ね、上司はいないような状態になっていますので、私はこの長年の不満を解消したいという思いと、嘘はつきたくないという思いから、本当の体制を伝えるようにしてきてみました。
たとえば、回線事業者などでたくさん使っていただいている高性能DHCPサーバのProDHCPの商談では、こんなやり取りがありました。
お客さん:ProDHCPの開発・サポート体制は?
私:基本的に私が全て対応しています。
お客さん:???
私:ソースや仕様は全て私の頭に入っていますし、ソースは常にこのノートPCに入っていて持ち歩いていますので、要望対応も迅速ですし、解析依頼なども日をまたいだことはないくらいです。
お客さん:そうはいっても、あなたが倒れたりしたらどうするの?
私:私と同じようなスキルを持つメンバーは社内に数名いますから、いざというときには彼らも対応できます。
お客さん:うーん・・・
私:そんなに体制が重要ですか?10人いても誰もすぐに問題を解決できないより、一人が完璧な対応をする方が良くないですか?このような尖った製品では、大勢いるほど責任のなすり合いになるなど、対応が悪くなりがちな気がしますが。
私は起きている限りメールはかなり頻繁に確認していますし、携帯電話の番号もお知らせします。これまで導入いただいたお客さんのところでも、対応が悪いという話しは一度もありませんし、むしろ対応が早すぎて驚かれるくらいです。
そもそも、一人でも対応できるように、品質には十分配慮してプログラミングしています。作った本人が言うのだから間違いありません!
お客さん:まあ、そういうなら。。
という感じでした。実際、導入いただいて、サポート対応なども何度かありましたが、不満どころかとても喜んで使っていただいています。
海外製品はなんとなく優れている気がするなどという、おかしな舶来志向がIT業界でもある気がしますが、海外製品のサポートの悪さで痛い目にあっているユーザはたくさんいるものです。それよりも、誰が作って誰が対応してくれるかがわかっている方がはるかに安心できるはずです。実際にそれは実感していただけていると思います。
お米や野菜などでも、生産者を明らかにして、付加価値の高い商品として販売するようなことも増えてきました。IT関連では規模のレンジがあまりにも幅広いため、何でもかんでも開発者を明示できるわけではないのは当然ですが、「この人がやっているなら」という選び方も良いのではないかと思っているわけです。
自信を持って活き活きと開発している人であれば、自分の功績が表に出て嫌な人は少ないでしょう。それがやる気につながり、より良いシステムが生まれていくようなやり方があっても良いと思うのです!