勉強をしておくと社会人になってどんなメリットがあるか?
息子に話した「勉強のコツ」 に関して多くの方にtwitterなどで取り上げていただいたのですが、その中で、「勉強をしておくと社会人になってどんなメリットがあるかを教えられない」というものがありました。
残念なことに私自身が高校からグレてしまい、メリットを実感できない側の立場になったので説得力ある内容が書けないのですが、きっとこうだったのだろう、というイメージはありますので、書いてみます。
・将来の選択肢が広がる
これは実際に子供達に話している内容ですが、極端な話をすれば、「医学部に行けば、医者になる道も選べるし、普通の会社員になる道も選べるが、大学に進まなければそもそも医者になる道を選ぶのは非常に困難」ということです。まあ、ほとんどのことは後からでも取り返す手段は残っているものですが、やはり時間は断然かかってしまいますし、苦労も多いものです。
・良い仲間の影響を受けられる
人は周りの影響を多く受けるものです。特に学生時代にどういう友人達とつきあえるかというのは、後の人生に大きな影響を与えると感じています。浦高時代の学友は今考えてもやはりすごい連中ばかりでした。勉強はもちろん、運動でもなんでも本気でした。そんな中にいたので、グレた私もなんとか踏みとどまっていたのだと思いますし、すごい連中をたくさん見たので、ある意味怖いものがなくなったという気もします。彼らと胸を張って同窓会などで顔を合わせられる自分になる、というのも、私の人生の中で一つのモチベーションであり続けています。
・人脈
これは私自身が弱いところなのですが、やはり学閥というのは多少なりとも存在すると思いますし、同窓の連携というのも大きな影響力を持っていると思います。ここに影響するのはおそらく高校までではなく、大学が大きいと思いますが、私は高校でグレてしまったので、大学の同窓仲間の連携にはほとんど恵まれていません。WIDEプロジェクトに参加した頃に感じたのは、やはり意識の高い連中はすごいということでしたし、実業でも出身校の連携はたびたび感じたことがあります。
・知識
学校で学んだ知識など社会では役立たない、とか言われますが、そんなことはないと思います。大学まで出れば、6+3+3+4で16年間もお金と時間を使って勉強したわけで、その基礎はしっかりと役立ちます。もちろん、一般常識なども含めて基礎となるわけですが、仕事においてもお客さんや仲間と同じレベルで会話が成立するのは、この基礎があるおかげです。基礎のレベルも充実していて損であるはずはありません。
・はったり
浦高卒だというだけで、関東近辺の方だと「それはすごい!」と最初から「頭がいい人(アバウトな表現ですが)」と思ってくれるようです。「で、大学は?」と聞かれて「千葉工大」と回答すると「頭がいい人→変な人」に変わるようですが・・・。まあ、進学校に受かったということは、「基礎学力がちゃんとある人」「やればできる人」というイメージはあるようです。イメージを裏切ると後輩に迷惑がかかるので、仕事をご一緒した後にも「さすが浦高卒ですね」となるように頑張らねばなりません。。
まだまだあると思いますが、一般的で当たり障りのない内容はこんなところでしょうか。
一方で、私のように途中でグレたおかげで経験できたことも紹介しておきましょう。
・荒れた連中の様子がわかる
母校には大変失礼な表現になってしまいますが、今とは違い、私がいた頃の千葉工大はそれなりに荒れていました。当時は私立の工業大学としては一番学費が安かったこともあり(今は違うようですが)、学食で昼食を食べることもできない人もいましたし、軽音楽部に入れば本当に不良の集まりみたいな状態で、私は数ヶ月で大喧嘩してやめたりもしました。とはいえ、実は結構バイタリティがある連中が多く、今でも付き合いのある友人達は、起業したり、キャリアアップを繰り返していつの間にか高給取りになっていたりと、浦高時代とは違う良さもありました。「自分で責任を取るから好きなようにやらせろ」という強さ・開き直りがある連中が多かった気もします。
・世の中の厳しさが良くわかる
当時はバブル期でしたので、就職には困りませんでしたが、やはり一流大学卒とは就職先・職種などはかなり違っていたと思います。私は今の会社にアルバイトからそのまま就職しましたが、ブランドもなく、学歴もない状態で、どうやって事業を立ち上げ、軌道に乗せていくかなどの苦労をたっぷり経験できました。エリートコースでは経験できないことだったでしょう。
結局、勉強でも仕事でも、自分がどう考え、どう取り組むかが全てなので、学歴がなくても立派な仕事をしている人はたくさんいます。しかし、どちらが近道かと考えれば、やはりそれなりにきちんと学生時代から努力を積み重ねた方が楽でしょう。あえて苦しい経験をたくさんすることも良いとは思いますが、レベルの高い状態から低い状態の経験はやろうと思えばできても、低い状態にいながら高い状態の経験はなかなかできないものです。
せっかく16年間も勉強に専念できる時間をもらえるわけですから、無駄にすごさない方が良いのは当たり前です。基礎学力・集団の中での自分・友人・体力作り・趣味作り・青春、すべてをバランス良く高めることができれば、社会人生活も好スタートが切れると思います。ただし、繰り返しますが、大切なことは「自分」です。受け身の姿勢は年齢と共に社会では通用しなくなります。「全ては自分が選択し、全ての結果は自分が原因だ」という気持ちで取り組むことが大切だと私は感じています。