2011年度下期:IT関連事業の業績がほぼまとまりました
社外に公表する内容ではないかもしれませんが、同じような事業をしている方の参考になるかもしれませんので。
2011年度下期のIT関連事業の業績がほぼまとまりました。当社ではメンバー一人あたり90万円をノルマ(必達という意味で)としていますが、その1.6倍くらいは稼ぎ出した感じです。
2010年上期から2011年下期までの売上をグラフにしてみると、このような感じで、円の大きさが売上の大きさにほぼ比例するようにしていますが、大きく業績を伸ばしたと言えます。
内訳としては、下期共通の特徴として製品の売り上げ(黄色)比率が高いということがあります。おそらく上期に確保した予算を下期に使う感じなのでしょう。なお、製品のかなりの部分は製造・販売を社外に任せているため、当社はライセンス料のみのうりあげになるため、本来の製品の売り上げとしてははるかに大きな規模になります。また、社内向け(赤色)も大きいのですが、これは大忙しだったゴルフ練習場向け事業関連です。青色の純粋な受託開発の割合は減り、緑色の受託開発(製品関連)が増えていますが、区分けとしては、製品をきっかけに特注品や構築の依頼をいただいたケースが「製品関連」で、エンドユーザから、あるいはSIerの下請け的なものが純粋な受託開発です。
数年前から、IT関連事業の大方針として、「下請けからの脱却」「得意分野で提案型ビジネスを」を掲げてきました。私がIT関連事業を立ち上げてノルマを超え始めたのが1996年で、2006年くらいまでは受託開発中心で稼いできましたが、「オフショア開発」「経済不況」「クラウド」などの様々な要因により、受託開発で稼ぐことがどんどん困難になることは間違いないと考え、「製品開発販売」を本格的に事業として立ち上げました。
2006年には不正接続対策システムのIntraGuardianシリーズの開発を開始し、2008年には展示会に出展したりすることをはじめました。また、2005年に開発したDHCPサーバを、2008年からソリトンシステムズさんにOEM提供しはじめ、ProDHCPとしての実績も出始めました。回線遅延シミュレータのEthdelayも2007年には登場しています。とはいえ、製品自体で本格的に稼げるようになったのはこの2年くらいで、その間は事業部内でも「手間がかかる割に儲からない製品事業に意味はあるのか?」という意見も多かったものです。それでも「自分たちの技術を直接アピールできる製品事業」にこだわり続けたメンバー達の献身的な努力と、当社を応援してくださった販売店さんやお客さんのおかげで、ようやく事業レベルに育ったという感じです。その間に製品関連で技術的に進歩した点はそれほど多いわけではなく、やはり製品販売の流れを作ることに苦労したと言えます。モノが良ければ売れるというものではありません。製品がなかなか立ち上がらない割に忙しく、受託も忙しい状況で業績が下がった時期もあり、メンバーのボーナスがゼロになったり、私の年俸がどんどん下がったりしましたが、受託中心に戻しても先はない、と、製品事業に力を注いできました。
当社のIT関連製品はどれも非常に価格が安すぎるといわれています。下手をするとゼロが1つ足りないくらいとも言われます。つまり、競合製品の1年分の保守料金で製品が買えてしまうほど安いということです。安売り競争はマーケティング的には大手が勝つ、と言われていますが、当社には安くする明確な理由があったのでした。「開発費はメンバー達の献身的な努力により、受託開発で浮かせた分と自分たちの時間を使って立ち上げた」「知名度もブランド力も実績もないので、高い技術力により安く製品化できるということをアピール」「そもそも流通を良く理解していなかったので、販売店のマージンを載せなかった(反省)」「自分で買うとしてもこのくらいなら、という値付け(やりすぎ)」「製品で当社の技術力を認知してもらい、特注品や構築の仕事でも稼ぐから」という感じです。実際に、「安いから」というインパクトで入札案件などに採用していただくケースから実績が立ち上がったという面も大きく、戦略としては大失敗ではなかったと思っています。とはいえ、この戦略がとれたのは当社のメンバーの強い意志があったから、ということは間違いありません。
まだまだこの程度では土俵に這い上がった程度だと思っています。これから事業規模が大きくなることに対応していけるかどうかが今後のポイントです。力があり、なんでもできるメンバー達の個人プレーに頼ってきた面が大きいのですが、それだけでは回らなくなるのがこの先だと感じています。全員での連携をきちんと行い、徐々に計画的な面を増やしつつ、同時に個性も活かす、という難しい舵取りを皆でしながら進んでいかねばなりません。