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プログラミングでメシが食えるか!?

回線遅延シミュレータ「EthdelayPro」が雑誌記事に登場

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当社の回線遅延シミュレータ「EthdelayPro」が雑誌記事に登場しました。
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日経NETWORK 2011年9月号の「実践講座:データセンター利用時の遅延の影響を調査せよ! 」(64ページ〜)に登場しています。

EthdelayProはEthdelayシリーズの最上位モデルです。Ethdelayシリーズ開発のきっかけは、自社でVoIPエンジンの開発を行った際に、回線遅延に対する動きを確認するためでした。せっかく作ったので、当時はソフトウェア製品として会社ホームページに掲載していましたが、ほとんどお問い合わせは無く、忘れた頃にお問い合わせがきたら、ソースが見あたらない!ということで、あらためて作り直したのが現在のバージョンのベースになっています。動作環境として、Linux機でネットワークインターフェースを2個以上、という要求に対し、「そんなハードは社内にない!」と言われることがほとんどで、アプライアンス化したらどんどん売れるようになったという製品です。いずれにしても、当初はソフトのデバッグ用、という位置づけで考えていました。高性能版EthdelayProはTCPアクセラレーター製品のデバッグに使いたいというあるお客さんからのご要望で製品化したものです。

ところが、実際にお使いいただいている目的としては、雑誌記事にもなっていますが、遠隔地との通信のシミュレーションがほとんどで、回線遅延による影響を確認するためにお使いいただいているケースがほとんどです。シンクライアントの動作確認・デモ用、あるいはクラウド化による体感速度の検討などでお使いいただいています。

回線速度というと、スループットに目がいきがちですが、実際は回線遅延の方が影響が大きいのです。今どきの通信の多くはTCP/IPを使っており、データの信頼性確保のためにデータを送信した後に受信確認(ACK)を応答してもらってから、次の送信を行う(実際はもう少し複雑ですが)、という仕組みのため、回線遅延が大きいと、応答待ちの間、回線を使っていないのです。いくら最大スループットが大きくても、遅延が大きいと実際の通信速度は上がらないのです。TCP/IP以外でも、通信の信頼性を確保しようとすると同じような仕組みとなるので、回線遅延の影響は大きいものです。

垂れ流しタイプの通信、たとえば動画配信の一部などでは、UDP/IPを使っていて、この場合は多少のデータロスは気にせず、一方的にデータを送り続けるので、回線遅延が大きくても、一定時間に流せるデータ量としては大きくすることができます。とはいえ、インターネット越しの通信の場合は大抵ファイアーウォールでほとんどのUDPは遮断されてしまうことが多いので、なかなか有効活用しにくいものです。

いずれにしても、回線遅延・パケットロス・帯域制限を、簡単に作り出せる装置として、Ethdelayシリーズは根強い人気があり、「ネットワークプログラミングの日本シー・デー・ディー」のイメージ作りにも役立っています。

じつは・・・記事に登場したEthdelayProはハードウェアが製造完了になってしまい、現在在庫がない状態です。幸い、より高性能でEthdelayProに適したハードが見つかりましたので、まもなく新EthdelayProとしてリリースできる予定です。アプライアンスはハードの安定供給がとても大事なのですが、今どきは半導体部品が目まぐるしく変わっていくので、なかなか難しい問題です。。

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