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書評:「人生の軌道修正」

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先日実家に行った際に、父から「この本を読んでみなさい」と渡された本が、和田秀樹著「人生の軌道修正」でした。

人生の軌道修正
和田秀樹 著
新潮新書
ISBN978-4-10-610310-0 C0211

和田さんは精神科医で、たくさんの著書があるそうで、実は私も知らないうちに著書を読んでいたかも知れませんが、この本はかなり私の好みでした。

前半は、心や体によい考え方、という感じの内容で、一言で言ってしまえば、「あまり極端な考えをしていると鬱になる」「答えは一つとは限らない」というような感じです。前半も読んでいて、「そうそう」というところなのですが、おそらく和田さんが本当に言いたかったのは後半かな、というくらい、後半はかなり主張が感じられます。

「年をとったら浪費しよう」では、「相続税を100%に」を筆頭に、かなりユニークな高齢化社会に関する提案が書かれています。こういう内容は反感を持つ人も多いでしょうけれど、最終的に賛成か反対かはともかく、こういう考え方もあると知ってみるのは面白いと思います。私は基本的に賛成できる内容でしたが、タイトルだけで判断せず、あくまでもちゃんと読んでみると良いと思います。自分の考えと違う意見にぶつかったときに、そんな考えはおかしい、と拒否してしまうとその考えの背景を知る事ができなくなります。これは読書でも人との会話でも同じで、聞く耳持たない姿勢は自分の知識ひいては人脈も広げられず、損なのです。しっかり把握してから自分の考えと照らし合わせれば良いだけのことです。

少々脱線しましたが、さらに日本の今の悪いところをいろいろと指摘していて、それも私としてはかなり同意できるものばかりで、かといって普段常にそう思っていたわけではなく、いろいろと気付かせてもらいました。

ちょうどブログに書いているので、ブログに関する話題を紹介しましょう。

脳がどのように情報を書いたり引き出したりしているかはわかっていないが、アウトプットの訓練をすればアウトプットの経路ができると言うことは言えそうだ、と書かれています。さらに、たとえば毎日ブログを書いている人はそのことによって引き出しの経路が増える。ブログを書かない人から見ると、「良く毎日書くことがあるなあ」と思うかも知れないが、これは話が逆で、毎日書いているから書くことがあるのだ。と書いています。

これはまさにその通りだと思っています。私もブログを書き始めて1年以上になりますが、意地でも毎日書くぞと思っていたら、書くことを考えるのがそれほど苦にならなくなりました。その前には個人のホームページも作っていましたが、これも頻繁な更新を心がけていたら、いつの間にかすごいボリュームになりました。

毎日書いている人は、脳に入った経験を取り出す経路がたくさんできるのだと、書かれています。

ブログに限らず、やっぱり継続は大切なのでしょうね。繰り返すことにより脳がそれに適した経路をたくさん作ってくれるのでしょう。好きなことが上手になるのは、言われなくても繰り返しているからで、逆に考えれば、苦手なことを克服したければ、好きになって繰り返すことでしょうね。

極論されるのが苦手な人には、読んでいて辛い本かも知れませんが、私はとても気に入りました。まあ、父が私の性格をわかっていて渡したのかも知れません。

私の父は長年中学の教諭を務め、校長までやりましたが、教育の現場と家庭は別で、よくそれで先生やってられるな、と感じたこともありましたが、それでもいろいろなことを教わったということが、この年になると実感できます。成人するまでの20年間、毎日見て育ったのですから当たり前ですが。私も二人の子供を育てていますので、将来子供たちが一人前になったころに、そう思ってもらえるよう、生き様を見せていかねばなりませんね。

子供の頃、当時の公務員はそれほど待遇が良かったわけではなく、お世辞にも裕福な暮らしではありませんでしたし、今でも両親がたくさんの資産を持っているわけではありませんが、そんなものよりはるかにすばらしいものを私はもらい続けてこられたと思っています。お金はその気になれば自力で稼げるものですし、親からもらいたいとも思っていませんが、人格は子供の頃からの積み重ねなので、やはり両親から授かったものが大きいと思っています。

来週は休みを取って、家族と両親で旅行です。両親が元気なうちに、たくさん話をしてそれをまた将来子供たちに伝えてやりたいと思っています。

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