なぜ本を書くか
オルタナティブ・ブログに移行してから書いた内容を読み返してみると、我ながら薄い内容だなぁ、と反省しているところなのですが、自分の考えを書くという作業は実は結構気分に左右されるもので、私の場合、社内でもめ事が多いと、その憤りをぶつけたいという感じで、説教臭い話が熱く展開できます。しかし、さすがにそれほど社内でもめ事ばかりだと、会社としてもまずいのですが、そんなにもめ事は発生しませんし、表に出せないようなディープなもめ事だったりして、なかなか熱い話が書けないところです。そもそも大抵ぐったり疲れた帰りの特急電車の中で書いているので、手短に終わっているのかも知れません。
ということで、前置きが長いのですが、今日は外出の予定もなく、たまには日中、まじめに書いてみるか、と、仕事時間中にブログを書いてみます。
文章を書くという話題つながりで、なぜ本を書くか、という話題でも書いてみましょう。
なぜブログを書くか、ということにも相当近い気もしますが、微妙に違う点もあります。
・本はお金を払って買って読んでもらう
・本は売れれば印税が入る
・本は書きたくても、どうやって世に出せばよいかわかりにくい
まあ、一番大きな違いはやはりお金を払って読んでもらう点でしょう。
この前提を理解した上で、なぜ本を書くか、という話題なのですが、私の場合、執筆に対して次の点を期待しています。
・公の場に名前や考えを出しているということで、信頼感を与えられる
・自分の考えや成果を形としてまとめられる
・書くことにより、自分の不十分さを再認識できる
・宣伝効果
・印税を小遣いとしてあてにする
執筆を始めた2000年頃は、個人ホームページはありましたが、ブログはなく、今となってはブログでも同じ効果を期待できる部分もある気がしますが、ほぼ毎年1冊のペースで書いてきました。
信頼感や宣伝効果という面では、私のような中小企業で仕事をしている立場としてはとても有効で、初対面の方への印象の与え方や、取引の判断をいただく際に役立ってきました。下手な情報処理の資格を持っているより、本を書いたことがある人の方が遙かに希少ということもあり、インパクトがあるようです。
また、書くことにより、自分が理解した「つもり」になっていて、実は良くわかっていなかったことに気がつくことは非常に多く、特に技術的な内容はまじめに説明してみると自分の足りない点が明確にわかります。
学生の頃、夏休みに毎年田舎に遊びに行ったのですが、そこで伯母が「年を取ってくると、自分の生きた証が欲しいと思うようになる」という感じのことを母と雑談の際にしていました。まだ私は高校生の頃だったので、さっぱり理解できない内容だったのですが、30代後半くらいから、なんとなく自分にとって「生きた証」ってなんだろう、ということを考えるようになりました。会社での仕事は、さすがに20年以上も続けていれば誇れるものもたくさんあるのですが、「これが私の成果です!」と第三者に伝えられるものとなると、IT業界意外の方に対しては非常に難しいものばかりですし、私個人ではなく組織としての成果とも考えられます。そんなことを考えているときに、著書はわかりやすい「生きた証」なのではないか、と思いました。書いてある内容が広く理解できる内容かどうかは別として、本という形で自分の考えなり成果なりをまとめた、というのは一つの「証」になるのだろうと勝手に思っています。
本の出版は、自費出版を除けば、基本的に出版社のビジネスに関わることであり、出版社として儲かる、つまり、ある程度売れる本でなければ執筆の依頼がもらえないものです。私の場合幸運にも、自分でホームページに公開していたプログラミングの記事を編集担当の方に見つけていただき、執筆の機会をもらえました。その後は自分からこういう内容を書いてみたい、と提案しながら7冊書いてくることができました。今の私の立場は、おそらく執筆をしていなければあり得なかった状態だと思っています。公に身をさらすことにより自分を鍛えることができ、多くの方と知り合うことができたおかげです。私の人生を大きく左右したポイントはいくつかありますが、その中でもかなり大きなポイントだったと考えています。
専門書ばかりなので、印税は本当にお小遣い程度です。それでも毎年ノートPCを1台買うくらいの小遣いにはなりますので、自分への投資もできますし、家族サービスも、もちろん趣味も楽しめます。
最近は本離れ傾向で、ライターもあまり積極的に本を書きたがらないそうで、出版社は基本的には楽しい内容を書けるライターを探しています。大体本を書けるかどうかの判断基準としては、
・出版社からのテーマに対し、構成(目次のようなレベル)を考えられる
・Goがかかったら3ヶ月程度で原稿を書き終える自信がある
このくらいだと思います。日頃から得意分野で情報を蓄積している人であれば簡単なレベルだと思いますが、得意だと思い込んでいるだけの人には少々辛いレベルだと思います。
技術書で生活できるほど稼ぐことはまず無理だと思いますので、本業と平行して執筆活動をすることになりますから、楽ではありません。しかし、私としてはなぜ皆さんチャレンジしないのだろうと不思議なくらい、著書を出したメリットは大きいものだと感じています。
ということで、少しまじめに書いてみましたが、結局あまり面白く内容という気もしますねぇ・・・。