マインド・シャープナー
そうですか3周年ですか……。アーカイブを見てみると、たしかに最初の「ヘリコプター・マインド」というエントリが2005/6/13でした。
その月のエントリを読み返してみました。「進歩が無いなあ」というのが率直な感想でしたが、前向きに「一貫性があるなあ」と思うことにします。
そのまま読み上がっていくと、3年前の今月には、"A Whole New Mind: Moving From The Information Age To The Conceptual Age"を読んでいます。ハッとしました。「マインドの時代」の到来を確信した、あの時からもう3年か!振り返る機会を与えてくれてありがとう>番長。
「マインド」つながりで、「マインド・シャープナー」というタイトルで先週書いたコラムを転載します。
-----
ペン・シャープナー (pen-sharpener)
ノンフィクションライターの野村 進による『調べる技術・書く技術』を読みました。氏はこの好著で、集中力を高めて仕事に取りかかるための「ペン・シャープナー」(ペン先をとがらせるもの)というものを紹介しています。
原稿を書くという一点に神経を集中させるのは、プロでもたやすくないことなのだ。そこで、プロの書き手には、自分なりの”集中の儀式”を持っている人が多い。たとえば、クラシック音楽を聴く。呼吸法を行う。大極拳をする。(略)
もうひとつ集中の儀式に役立つ材料に、「ペン・シャープナー」というものがある。(略)ペン・シャープナーとは、文章のカンを鈍らせないために読む本や、原稿を書く前に読むお気に入りの文章のことだ。(p127)
著者は名文を書き留めたペン・シャープナー手帳を作っているとのこと。
執筆の前には、この手帳を好きなところから広げて読みはじめる。すると、気持ちが徐々に書こうという方向に高まっていく。その瞬間を逃がさず書きはじめるのが、コツだ。(p128)
マインド・シャープナー (mind-sharpener)
我々も、仕事の前に気持ちを研ぎ澄ませたり、落ち込んだときに自分を奮い立たせるために、よい本や文章を使うことができます。物書きのペン・シャープナーになぞらえて「マインド・シャープナー」と命名しておきましょう。
材料は、気に入った本やマンガからの引用はもちろん、出来合いの名言集でもいいと思います。重要なのは、時間を掛けて何回も使うこと。特定の文章という刺激と、それが引き起こす心理的な反応をしっかり関連づけるために反復が必要ということは、脳科学や心理学の知見を借りるまでもないでしょう。鉛筆削り (pencil sharpener)は使っていくと切れ味が鈍ってきますが、こちらのシャープナーは使うほど鋭くなっていきます。
既にマインド・シャープナーをお持ちの方も多いでしょう。わたしもいくつか持っています。『リストのチカラ』でご紹介したようなリストもありますし、短い文章もあります。一番よく読み返すのはある方の墓碑に刻まれている言葉で、これは作業管理ソフトの先頭に置いてあるので毎朝ちらっと目に入ります。