短い文を書くコツは、「抽象から具体への追っかけ説明」にあり
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コラムやblogなど、気軽に読む類の文章は、一文が長すぎると読みづらい。しかし、筆に任せて書いてから文を分けようとすると、これがなかなか難しい。
たとえば、こんな文があったとしましょう。
ミツバチの女王バチは、若い働きバチの脳に作用して嫌悪学習を抑制してしまう面白いフェロモンを下顎から放っていることが最近分かったそうだ。
70文字もない文なので、決して長文ではありません。係り受けの関係も分かりづらくはありません。
僕ならこのように書くであろう文が3つの文章に分けて書かれているのを読んで、ハッとしました。
最近、ミツバチの下顎から面白い物質が見つかった。女王バチが放つフェロモンである。なんと、このフェロモンは若い働きバチの脳に作用し、嫌悪学習を抑制してしまうという。
池谷 裕二、「洗脳フェロモン」(あすへの話題)、日本経済新聞(夕刊) 2007年8月1日
よく見てみると、
- 「物質」が見つかった
- (その「物質」は)こういう「フェロモン」である
- その「フェロモン」は、かくかくしかじかである
こういう感じで、抽象的な言葉(物質)を登場させてから、その言葉の説明を被せていっています。書き手からするとまどろっこしい気がしますが、読み比べてみると後者の方が読みやすい(冒頭で書いた通りコラムやblogなどの場合は)。
懸命に推敲して、無用な言い換えや代名詞を減らしてシンプルにした挙げ句、結果として「意味的にも文法的にも整っているのに、なぜか読みやすさ・面白みに欠ける」文になってしまう。そんなことをたくさんやってきたような気がしてきました。
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