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日々の「ハッ、そうなのか!」を書き留める職遊渾然blog

メールで解雇通知:何がいけないのか

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反射的に、「なんて非人間的なことを!」と感じてしまうニュース。

 米RadioShackは約400人の従業員に、彼らを人員削減計画の一環として即時解雇したと電子メールで通知した。

 フォートワース本社の従業員は8月29日の朝、次のようなメールを受け取った。「現在人員削減の通知を行っています。残念ながらあなたの仕事はなくなりました」
ITmedia News:「あなたの仕事はなくなりました」――RadioShack、メールで解雇通知

なぜこの打ち手がダメなのか。例えば下記のようなリスクがありそうです:

  1. 残る従業員の士気が下がる
  2. よほど余裕がないと思われ、株主や取引先からの信頼が低下する
  3. 人間味のない企業というレッテルが貼られ、よい人材が採用しづらくなる
  4. 本音のフィードバックを受けるチャンスを逃す(別れ際は本音を聞くチャンス)

しかし1、2、3は、本質的にはメールという手段の問題ではありません。
これらは、「突然」「一方的に」「大量に」解雇する決断をした以上、
必然的に負わねばならないリスク。
穏当な手段を選べば緩和されるというものでもないと思います。

4.も、口頭で伝えさえすればOKというものでもないですね。
それが一方的な通知である限りは同じこと。
かといって、解雇を通知する当時者に「会社を良くするためのメッセージを、
解雇しようとしている相手から汲み取ってくれ」と期待するのは難しい。

とすると…ハッときました。
解雇通知の手段にメールを用いたという選択の最大の問題は、
それが非人間的だという話ではなく
「前例のないことをやった」ということではないだろうか。

RadioShackがどのような手続きを踏んだのか分かりません。
もしかしたら考えに考え抜いた末に打った手かもしれない。
事前に会議などで周知し、徹底的に話し合い、心の準備をしたうえで
最後の通知だけをメールで行う。そんなやり方が、
もし かしたら人員削減業務のイノベーションになるかもしれない。

#「そんなわけあるか!」というかもしれません。
僕もメールでは通知されたくないですが、分かりませんよ。
最後の通知面談だけで何とかしようとするのではなく、
そこに至るプロセスを共有し、「自分が対象になっても仕方がない」と
腹をくくっておけた方が、いいかもしれない。
怠けていたわけでも成果が出なかったわけでもないのに、
会社の都合で本人の望まぬ選択をお願いするのは辛い作業ですし、。
(僕も当事者だったことがありますが、本当に辛い)

でも、たとえメール通知が効果的だったとしても、
大量解雇だけでもバッドニュースなのに、
ことさらニュースのネタになりそうなやり方を
選択するという判断は妥当でしょうか。そこに疑問を感じます。

RadioShackは大手(S&P500)です。それなりの判断があったと思いますので、
どこまで考え抜いていたのか、
どこかでケーススタディがなされたら勉強してみたいところです。

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