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ITは新商品開発に貢献しない?

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 新製品開発支援の企画の為に関連文献をしらべていてちょっと面白い論文を見つけた。「新製品開発のタイプ別成功要因とケース・スタディ」という獨協大の黒川助教授のそれだ。
 2001年のものでちょっと古いが、企業における新製品開発の成功要因を調べるために製造業1000社へのアンケート調査を行って161社から回答を得たとある。

 結果として新製品開発における成功要因として最も沢山の回答を集めたのは「ユニークな製品」ということだ。以下に論文から表を引用する。

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 それ以外の上位の回答にも納得なのだが、ちょっと気になるのは「ITの利用」が19位とかなり低いこと。確かにITで直接新製品開発ができるわけではないが、ちょっと低すぎないか。
 論文を読み進むとITについては、もうちょっと詳しく「ITの新製品開発への役立ち度」を問うてあった。

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 EメールとCAD/CAMが1位、2位というのは納得だが3位にホームページや仮想コミュニティからの顧客ニーズというのが入っていることに注目したい。
 顧客参加型製品開発については、つい先日セブン&アイ・ホールディングズが PB(プライベート・ブランド)である「セブンプレミアム」の商品開発・改善を目的として顧客参加型コミュニティサイト「プレミアムライフ向上委員会」をオープンするなど着実に新製品開発手法として定着し始めた。日経エレクトロニクスの昨年の記事「消費者は商品開発者になれるか,押し寄せるユーザー参加型開発の波」では将来的には、デジタル家電など国内エレクトロニクス業界の主戦場にも広がるとされる。

冒頭にも書いたがこの調査は2001年と古くてITというとまだまだ社内システム中心の時代のものだ。今再度調査をやり直してITを社内システムとインターネットに分けて、インターネット側にはQ&Aサイトやウィキペディア、雑誌論文検索サービスなどを加えるとまたもうちょっと違う結果になりそうな気がする。

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