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“軽自動車1台分の費用”でヨットを所有して港や島を旅できる、ってホント?

ヨットで「自炊」するぜっ

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 「旅するヨットという題名なのに、お金の話ばかりで、ちっとも旅じゃないいいいぃぃぃ!」と不平不満を爆発させていた船長候補生の諸君! ようやく「旅をするならヨットにしようぜ」というお話です。

blog5-1.jpg28年落ちの26フィートヨット(ソレイユルボン級)のキャビンってこんな感じ

 「船で旅する」ということは、すなわち「船で生活する」ということ。「食う寝るところに住むところ」とは、落語の「寿限無」で「人間生きていくのに、これだけあればなんとかなる」と生まれた子供の名付けを頼まれた大家さんがのたまった有名な一節。船を生活する場として使うことになる"旅するヨット"でも、この一節がそのまま当てはまるのです。

 その最初に来る「食うところ」に必要なのが、食うものを作る、船では「ギャレー」と呼ぶことが多い「台所」です。釣り目的のパワーボートにも小さなギャレーが設けてありますが、ヨットの場合は二口コンロがついていたり、食器棚がついていたり、シンクがついていたりと、パワーボートに比べて設備が充実しており、長期にわたる船内生活の自炊(ここが肝心)にも対応できる使い勝手を備えます。

 とはいえ、「俺は、レースをやらないクルージングオンリーのブルーウォーター派」というヨット乗りでも、「ん、ギャレー? 寄港先でうまい飯を食うからめったに使わないね」という船長も少なくありません。日帰りの航海なら「コンビニ弁当持参」も多い。訪れた土地で地元の美味しいものを食べるのも旅の大きな楽しみですし、準備と片付けの手間を考えるとコンビニ弁当はとても便利。私もよく利用しています。

 でもね。
 船のギャレーでご飯を作るのって、

「うひゃあ、すげえ面白いぃぃぃぃ!」

 のです。コンロでお湯を沸かすだけでもいい。私が船で初めて作ったのはカップヌードル。その次に作ったのは持ち込んだご飯とレトルトカレー。やったのはコンロでお湯を沸かすだけ。それでもいい。

 ハイソな大型ヨットになると、「それ、どこの高級レントラン?」といいたくなるような、「何々風云々仕込みのなんたらかんたらっ」という料理を本職(!)のシェフが停泊中に作っちゃったりしますが、そこまでいかなくても、航海中のゆれる船内で、「豚肉と玉ねぎの塩ゆで」を小さな鍋でこさえるだけで、もう十分面白くて十分美味しいのだ。

 ヨットで旅をする、という行為には、知らない土地を訪れるという楽しみと共に、「船で生活を営む」ことを楽しむ側面もあります。船でご飯をつくって食べる、というのはそういう楽しみを増幅させてくれると思うのです。そういう旅を堪能したいなら、やっぱ、ヨットだよねー。

 というわけで、次回は「食う寝るところに住むところ」から「ヨットの寝るところ」のお話。いやー、もうすぐ梅雨も晴れるかなっ!

blog5-2.jpgソレイユルボン級はキャビン左舷中央にギャレーがある。2口のガスコンロは、船が横揺れしても水平になるようにジンバルに載せている。コンロの奥と上に食器棚、右脇に清水蛇口付きのシンクを備えている




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