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マーケティング発想法「成熟市場の隙間を見つけよう」

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起業を考えている方や、新規事業を模索している方にとって、どのステージの市場の中で商売をするかというのは大きな悩みどころです。
一般的には「成長市場」を狙うのが定石ですね。今のスマホ市場を見ても分かるように、市場が爆発的に大きくなるということは、新規参入のチャンスも大きいし、大きなお金の流れの中に身を置くことで、入ってくるお金も大きくなる可能性が高まります。
しかし一方で、野心溢れたチャレンジャー達が次々に登場し、ビジネスを競い合うという激戦区でもあります。よほどビジネスモデルの斬新さと体力がないと、あっという間に追い越され埋もれてしまうという辛さがあります。

では「成熟市場」はどうでしょうか。もはや市場の大きな広がりが見込めず、大手資本によってシェアが固定化してしまっている、つまり"動きのない"市場です。
一見参入は難しそうなのですが、この成熟市場の<隙間>を狙うという戦略は一考の価値があると思います。

例えば成熟市場の代表選手である生命保険。加入率79%という超成熟市場です。
この超成熟市場の<隙間>を上手く突いたのが「保険の窓口」や「保険市場」といった保険の見直しサービスビジネスです。
中立的な立場で現在加入している保険商品を見直して、複数社の保険商品の中から最適な商品をアドバイスするというこのビジネスは、自分が加入している保険の内容を気にし始める40代を中心に人気を集めているようです。
この年代の人達は、若かりし頃に何となく保険に入ってしまった人達です。皆さんの中でも会社に入社した途端に保険のおばさんが大挙してやってきて、「あなたも社会人になったんだから保険くらいちゃんと入らないと駄目ですよ」なんて訳の分からないことを言われて、勧められるままに保険に加入してしまったというご経験があるかもしれませんが、年齢を重ね、本当に保険の必要なステージにさしかかった時、「今加入している保険って大丈夫?」と気にし始めます。まさにここに「保険の見直し」という<隙間>が存在しているのです。

「動きのない」成熟市場と、生活者を取り巻く環境変化、時代の変化やライフステージの変化という「動き」の間には常に<隙間>が生まれます。そしてこの<隙間>こそが新たなビジネスチャンスだと思います。

成熟市場をもう一度眺めなおしてみて、そこにどんな<隙間>があるのか、その<隙間>を埋めるにはどんなサービスがあり得るのかを考えてみることで、新規事業のヒントが見つかるかもしれませんね。何よりも成長市場と違って野心的なライバルが少ないのも魅力だと思います。

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