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「梅ちゃん先生」のヒットから学ぶ

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 ビジネスに行き詰ったときには「成功事例を研究し、そこから成功のヒントを学べ」と言われます。確かに、ライバル企業がなぜ成功しているのか、何が成功のポイントとなっているのかを研究し、そこから自社の足りない部分を見つけ、ビジネス改善に役立てるというのは正しい手法です。
 しかし、同じ業界や類似商品の成功事例を追いかけるだけでは、往々にして単なる後追い、二番煎じとなるのがオチです。そこで、全く違った業界の事例に関する成功要因を洗い出し、それを自社ビジネスにあてはめてみるという方法があります。異業種のいいとこ取り、いわゆる「焦点法」といわれるメソッドです。

 例えば、平均視聴率20%という数字をはじき出したNHK朝の連続ドラマ「梅ちゃん先生」。ここでは、この「梅ちゃん先生」のヒット要因を分析し、仮に飲食店の新たな店舗開発に応用したらどうなるかを考えてみましょう。

 毎朝8時からの15分番組なので、視聴者の多くはリタイヤしたシニア世代の方々や、多少ゆっくり出勤できる40代の方々だと思われます。
 主演の堀北真希さんが、ほぼすっぴんで登場している点も個人的には大きなヒットの要因だと思いますが、この番組で注目したいのは、ほとんど毎回「お茶の間」シーンが登場することです。家族全員がお茶の間に集まり、家長を中心として皆で食事をしたり、たまに口喧嘩をしたり、近所のおじさんが上がりこんだり......。
 この「お茶の間」こそが"昭和という時代の家族観"のメタファーであり、そこに視聴者の共感を生むポイントがあったのではないかと思います。これを応用すると、中高年世代向けの「家族が集ま れる居酒屋」というコンセプトが生み出せます。昭和の時代を意識した内装で、お袋の味を感じさせる手作りメニューを提供することで、新たな家族需要を取り込むチャンスがあるかもしれません。

 また、この時間帯は他局ではどこも似通った内容のワイドショーばかりで、そうした番組に食傷気味の人達を取り込んだこともヒットの要因かもしれません。これを店舗開発に転換するなら「イタリアンが密集して いる場所を敢えて狙って和食の店を出店する」という方法になるでしょう。

 このように異業種での成功要因を仮説化し、それを自分のビジネスに応用することで、現状をブレイクスルーできるヒントが見つかるのではないかと思います。
 この焦点法、ひとりでできないこともありませんが、数名でブレストしながらやるとより効果的です。頭の体操と思いながら、一度試してみてはいかがでしょうか。

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