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仕事に絡んだ四方山話などを徒然にと思いつつも、読んで興味深かった本ネタが多くなりそうでもあります。

【ブックトーク】“人生の処方箋”的に読めました。/『人に強くなる極意』

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 ここ最近、ウクライナにおけるクリミア情勢が緊迫しています。様々な見方があるとは思うのですが、どうにも日本国内での報道は「欧米の立場でしか伝えてくれていない」と感じることも多く。もちろんロシアの「力による現状変更」とのやり方を認めてはいませんが、どんな形であれ双方の立場からの「情報」がほしいな、と。そんなこともあったのか、ロシア情勢にイロイロな意味で通暁されている方のこちらを思い出しました。

 『人に強くなる極意』(佐藤優/青春出版社)

 “中国が潜在的脅威だという見方は甘い。日本にとって、中国は顕在化した現実的な脅威である。”

 近未来の混乱を想定して、日本人が“生き残るためのノウハウ”をまとめた一冊となります。といっても、堅苦しい感じではなく、身近な例を題材にしながら、わかりやすく述べられています。

 構成は全てで8章、「怒らない」「びびらない」「飾らない」「侮らない」「断らない」「お金に振り回されない」「あきらめない」「先送りしない」。その各章ごとに佐藤さんの推薦本も載っていて、ちょっとお得な気分にも。また、佐藤さんご自身の視点を俯瞰するにもちょうどよく、導入本的にも使えるかな、とも。

 “TPPの本質は対中国を睨んだ環太平洋諸国の経済・軍事同盟”

 クリミア問題に限らず、各国のエゴがぶつかり合い、権益担保いのために軍事衝突も辞さない時代に入りつつあると感じています。これは、まごうことなき“帝国主義時代”の再来ですが、、その中で日本はどう立ち回っていくべきか、そんなヒントがちりばめられているかと。

 古代ローマの例を見るまでもなく、古来より経済と安全保障は分かちがたいものです。先の大戦後、国防の意識が希薄なままで来れた日本が、むしろ特異な存在なのかなと、そんな風に感じた一冊です。

【あわせて読んでみたい、かもな一冊。】
 『なぜ欧米人は平気でルールを変えるのか』(青木高夫/ディスカヴァー携書)
 『失敗の本質』(戸部良一他/中公文庫)
 『宰相のインテリジェンス』(手嶋龍一/新潮文庫)
 『知の武装:救国のインテリジェンス』(佐藤優&手嶋龍一/新潮新書)
 『経済は世界史から学べ!』(茂木誠/ダイヤモンド社)

【補足】
 そうそう、別の記事での話になりますが、興味深かったのは今のウクライナの現政権も「普遍的価値観を共有できる勢力ではない」とされている点でしょうか。客観的にみれば、同類同士の権力争いの結果との見立ても成り立つでしょうか、なかなかに根が深いかなと感じました。

 一つ“あてこする”のであれば、「9条」を金科玉条とする方々、今すぐに現地入りして紛争を止めてみてください、ってあたりでしょうか。「実力を伴わない正義は無力」、気づいていないのか見て見ぬふりをしているのか、、なんて徒然に。



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