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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

「教育」の美名の元で権力をふるう者達 - 生徒に考えさせない学校システム(4)

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前回の続きです。

さて、もう部活動なんぞにかかわるのはうんざりだ、ということで
退部を申し出た私でしたが、「部活動強制加入」という常識の中で
その要求を通すためには、学校と戦わなければなりませんでした。

その戦いの中で私は、学校という組織が

  「生徒は自分の意志をもって
   考え、選択し、行動する
   べきではない

と考えていることを知りました。
だから、当然のように部活動の強制加入をさせていたわけです。

もちろん表だってそんなことは言いませんし、
彼ら自身も自分がそう考えているとは思っていなかったでしょう。

しかし、彼らが学校のマネジメントにおいて現実にとっている
行動はそういうものでした。

にもかかわらずそれを自覚もしていないぐらい、
無意識レベルにまで深く入り込んでいる価値観で彼らは動いていました。

実は、結局のところそれは彼ら自身も

  「自分の意志によって
   考え、選択し、行動することを
   してこなかった」

つまり自分の意志がない人間だということを意味しています。
全員とは言いませんが、学校のルールを作っていたのはそういう教師達でした。

自分の意志がない人間は、意志がある者と対峙したときに、
ある特徴的な対応をします。

  1.「それがルールだから」と、ルールで通すか
  2.「そんな要求をする奴は協調性がない」と人格攻撃を始めるか
  3.「オレはそんなことは言ってない」と 逃げを打つか

いずれかです。

部活動の一件で学校と大ゲンカをしたときはまさにこの
パターンで推移しました。

  開米  :他にやりたいことがあるので部活はやめます
  学年主任:全員どこかの部に入るのがルールですよ
  開米  :どういう法的根拠で言ってるんですか、それは?
  学年主任:・・・・・・(絶句)

まさか中学生に法的根拠を持ち出されるとは思っていなかったようです。

  開米  :と言うわけで辞めます。いいですね?
  学年主任:どうしてそんなことを言うんですか。
       みんながそんなことを言い出してみんな
       辞めちゃったら部が成り立たないでしょう?
       どうしてそんなに協調性がないんですか
  開米  :僕は部を維持するための道具じゃありません。
       (つーか、みんな辞めるわけがないし)
  学年主任:途中で辞めるなんていいかげんなことは・・・
  開米  :そんな理屈は筋違いでしょう。
       そもそも入りたくて入った部じゃありません。
       強制と言われたからイヤイヤやってただけです。

そして次がとどめの一撃でした。

  学年主任:わかりました。じゃあ辞めなさい。
       部活動は各自が任意で参加するものですから、
       やりたくないなら好きにしなさい。
  開米  :(おいちょっと待て今何と言った?)
       任意で参加・・・と言いましたか、今?
       全員必ずどこかの部に入れ、と今までは
       言ってましたよね?
       強制加入でしたよね?
  学年主任:強制なんてしてません
  開米  :?????
  学年主任:部活動は自由参加です。
       強制的に入らせてはいません。
       開米君、あなたも自分の意志で入ったはずです。
  開米  :(な、なんだって・・・・? ふざけるな!!!)

私は入学時にその学年主任がハッキリと「部活動は全員参加です。
全員必ずどこかの部に入りなさい」と言うのを聞いていました。

さらには私が「辞める」と言い出したことに難色を示す過程でも
彼らは「全員参加・強制加入」という前提で話をしていました。

その当の本人が手のひらを返したように「強制はしてません」
と言い始めたわけです。

それはまったく事実と違います。
学年主任が平然と嘘をついた瞬間でした。

これを聞いたときは、一瞬で体温が2度ぐらい上がった気がするほど
猛烈な怒りを覚えましたとも。怒りのあまり言葉が出てこなかったほど。

そしてこの一件で私は完全にその学年主任および担任教師を信用しなく
なりました。彼らは「自分に都合のいい理屈で人(生徒)をコントロール
しようとしつつ、都合が悪くなると逃げるやつら」でしかなくなりました。

しかし、ことは私が在籍していた中学校だけではありません。

  1.「それがルールだから」と、ルールで通すか
  2.「そんな要求をする奴は協調性がない」と人格攻撃を始めるか
  3.「オレはそんなことは言ってない」と 逃げを打つ

こういうパターンで組織を動かそうとする人間はどこにでも、どんな会社にでもいます。
「自分の意志を持たない人間」の典型的な行動様式なんですね。

  ★  ★  ★

ちなみに、私は「部活動は強制参加」というやり方自体が根本的に間違っている
とは思っていません。そういう考え方をする教師がいてもそれはそれでいいです。

ただし、「自分の考えでそのやり方を採用していることを明確に自覚し、
必要な配慮をきちんと行っているのであれば」です。

たとえば私の退部の時の一件にしても、もしこういう流れだったなら・・・
  ↓
  開米 :他にやりたいことがあるので部活はやめます
  先生A:部活動をすることには他には代えられない価値がある。
      だから私は全員部活をするように指導している。
      それが私の信念であり私のやり方だ。

こんなふうに「ルール」や「協調性」をタテにすることなく、
「自分の考え」で対応してくれたら、別に悪くは思いませんでした。

考えの違いはあっていいんです。先生には先生の経験や事情があって、
ある方法をとっているとしても、こちらには別な事情があって別な
要望がある。

「意志」のある人間同士の間では、相互に落としどころを探る話し合いができます。

が、意志のない人間は相手をコントロールしようとします
そこで「ルール」や「協調性」を持ち出しはじめ、それが
不調に終わると対立から「逃げ」るわけです。

  ★  ★  ★

なにはともあれ、そんな経緯を経て私は退部を強行しました。
一応、学校との大ゲンカには「勝った」ことになります。
でもそれはちっとも喜べない、後味の悪い勝利でした。

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