スポーツと共に進む 湧永製薬株式会社 前篇
今年は4年に一度のオリンピックイヤー。様々なスポーツがテレビや新聞で紹介されることになるでしょう。その中にはまだまだ知らないスポーツも沢山あるはず。そしてスポーツを支え、応援している企業も様々な活動を行っています。このようなスポーツを支援している企業の取り組みについて紹介していこうと思います。
第一回目は、ハンドボールチーム ワクナガレオリックを支える湧永製薬株式会社 湧永 寛仁社長にお話をお伺いしました。
-湧永社長とハンドボールの出会いとはどのような形でしたか?
私が小学生くらいのときに父(湧永製薬株式会社二代目社長の湧永儀助氏)に連れられて観に行った記憶があります。そのときは湧永製薬が所有しているチームだと言う意識はありませんでした。ハンドボールを初めて観た感想としては、純粋に面白いスポーツだなと。
ボールの動きも得点の動きもあり、観ていて飽きませんでしたね。また当時の湧永製薬ハンドボールチームは非常に強かった。オリンピック代表も大半をワクナガの選手が占めていた時代です。そういった強さも楽しく観戦できた理由ですね。
-湧永製薬がワクナガレオリックを創部した理由とは?
創部をしたのは父の時代です。父がハンドボールの選手で大学時代は主将を務め、インカレでも優勝した経験がありました。父はハンドボールに魅力を感じ、ハンドボールが大好きだったのですが、社会人では続けることはできなかったんです。そこでハンドボールをもっとたくさんの人に知ってもらいたい、そして世界に通用するハンドボールクラブを作りたい、という気持ちからワクナガレオリックを創部したと聞いています。
ハンドボールは日本ではまだマイナーなスポーツになるかもしれませんが、世界では競技人口も多く、特にヨーロッパでは盛んに行われていてメジャーなスポーツのひとつに数えられます。創部したのは父の時代ですが、ハンドボールをより多くの人に知ってもらいたいという思いは私も父同様に抱いています。
◆ユーストリームでハンドボールの中継を開始
-昨年からワクナガレオリックの試合をユーストリームで中継されています。ハンドボールを多くの方に観てもらうために、素晴らしい活動だと思います。なぜユーストリームで中継をしようと思ったのですか?
やはり多くの方にハンドボールを観ていただきたいという気持ちからです。当然、生で観てもらった方がよりハンドボールの魅力を感じていただけるとは思います。TV中継があればそれに越したことはありませんが、なかなかそういうわけにはいきません。そこで昨年から私がソーシャルメディアを活用した様々な情報発信を始めた際に、ユーストリームを使った中継を思いつきました。
-中継を始めた当初はいろいろと苦労されていたようですが
大変だったのが通信を確保することでした。通信はモバイルWifiを使っているのですが、ワクナガレオリックの本拠地は広島県の北部の安芸高田市にあり、通信状態はあまり良いとはいえません。幸か不幸かハンドボールの試合会場の中でも最も通信環境が悪い場所だったんです。
だからここで中継ができれば他の場所でも問題はないだろうと(笑)これも笑い話なんですが、モバイルwifiを契約するときにお試し期間のようなものが一ヶ月あったので、その期間でワクナガレオリックの練習をテスト中継してみたんです。ダメなら解約で(笑)結果はテスト中継にも成功しました。
他にも電源の確保や、カメラのスイッチング、マイクの位置などいろいろと試行錯誤を繰り返しながらノウハウを蓄積し、現在では画面にリアルタイムの得点表示をできるようになるなど、かなり観やすく楽しめる映像になっています。
-何名体制で中継を行っているのですか?
現在は3名で行っています。解説が1名、これはワクナガレオリックOBにお願いしています。カメラマンが1名、パソコンでtwitterなどの更新を行う人が1名です。カメラは2台使用していて、1台は定点カメラ、1台は試合の流れを追うカメラです。
◆中継は予算をかけずに。ノウハウもお教えします。
-中継にかかる費用はかなりするのではないですか?
大きな予算の無い中での活動なのでそれほど費用はかけていません。もちろん人件費などを入れるとそれなりになってしまうかもしれませんが、カメラなど機材としては30万円ほどです。カメラも市販のハイビジョンカメラなので秋葉原で購入してきました(笑)
-湧永製薬であればもっと費用をかけることもできたのではないですか?
確かに費用をかけてアウトソーシングをすることはできたと思います。しかし、今回の中継は「自前でやる」ことが大きなコンセプトでした。それはハンドボールを含めて様々なスポーツでこのような取り組みを行って欲しいからです。
その時に「湧永製薬の資本力があるから中継ができたんだ」と言われたくはない。予算もそれほどかけずに中継をすることができるということを知ってもらいたいですね。ノウハウを知りたい団体さんなどいらっしゃれば包み隠さずお教えいたします。
-中継を行った手ごたえはいかがですか?
手ごたえは感じています。ユーストリームの述べ視聴者数は1万人を超えました(ユーストリーム統計情報より)。特に琉球コラソンとの試合は非常に多くの視聴者を集めています。沖縄からだとなかなか他のチームの試合を観に行くことは難しいので、そういった方たちにも楽しんでもらえているのではないでしょうか。また、選手のご両親にとっても活躍を観ることができると好評です(笑)
-中継の許可などハンドボール協会との交渉は大変でしたか?
いえ、ハンドボール協会も非常に喜んでくれています。昨年はワクナガレオリックの試合だけを中継していましたが、今年はより多くの試合を中継したいと考えています。ワクナガレオリックが中継を行うことで、ハンドボールが盛り上がることを証明することができれば、他のチームも中継を行うかもしれません。ワクナガレオリックとしてもそのことを証明することは非常に重要なことだと思っています。
後篇へ続きます。
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