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マイクロソフトのERPはSAP、Oracle EBSに代わる救世主になれるか?

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Microsoft Dynamics AXのセミナーを受講しました。
グローバル化を避けて通れない日本の製造業にとって、ERPの選択肢はSAP、Oracle EBS、Microsoft Dynamics AXしかないのが現状です。ところがSAP、Oracle EBSのライセンス料は高すぎる、Microsoft Dynamics AXならリーゾナブルなライセンス料で導入できそうだなというのが受講の動機です。

Dynamicsシリーズには、デンマークNavision社を買収した製品をベースとしたMicrosoft Dynamics AX、Microsoft Dynamics NAVと、アメリカGreat Plains社を買収した製品をベースとしたMicrosoft Dynamics GP、Microsoft Dynamics SLの4つの製品があります。
Microsoft Dynamics GP、Microsoft Dynamics SLは米国内しか展開されていません。
Microsoft Dynamics NAVは、小規模ユーザ向けですので、生産管理を含む本格的なERPを検討するならBusiness Essentialしかありません。又、Microsoft Dynamics AXにも、Advanced ManagementとBusiness Essentialsがありますが、Business Essentialでは会計、販売購買しか使えませんので、本格的なERPはMicrosoft Dynamics AX Advanced Managementということになります。

Microsoft Dynamics AXの強み
1. 低コスト
Microsoft Dynamics AX Advanced Managementのライセンス料は、477,545~262,520円/1ユーザで、同時接続ユーザ数ですので、場合によってはSAPの1/10位になります。
2. 操作性
Microsoft Officeのユーザインターフェースとほとんど一緒で、ダイレクトにExcel等と連動しますので、Microsoftのユーザインターフェースに慣れているユーザには使いやすい製品です。
3. クライアントサーバ版とWeb版の両方をサポート
これは強みかどうか分かりませんが、ブラウザの表現力に限界を感じるユーザには強みでしょう。
4. グローバル対応
多言語(40)、多通貨に対応していますが、韓国語とマンダリンチャイニーズ(台湾)にはまだ対応していません。
5. カスタマイズ性
項目名を変更したり、不必要な項目を見えなくしたり、分かれている画面を1枚にしたりすることは簡単に出来ます。ない項目を追加したり、その項目のロジックを追加するのは完全に開発機能を使う必要があります。SalesforceとSAPの間位のカスタマイズ性です。
6. 操作マニュアルが簡単に作れる
タスクレコーダをオンにすると、一連の操作が画面付きで、操作の説明がWordに自動的に記述され、ユーザ向けの操作マニュアルが簡単に作れます。

Microsoft Dynamics AXの弱み
1. ERPとしての機能の弱さ
人事管理はありますが、給与計算はありません。会計管理はありますが、固定資産管理は弱すぎます。CRMはありますが、Dynamics CRMとは別物でSFAしかありません。
サプライチェーン管理はありますが、単なる販売管理、購買管理です。
2. 用語に違和感がある
翻訳物共通の問題ですが、翻訳が適切ではなく、機能名や項目名で理解出来ないものが多くあります。「売掛金管理」は販売管理のことで、「買掛金管理」は購買管理のことです。
3. 基本は、ジョブショップ型のMRPシステムで、プロセス製造管理や製番管理は出来
せん。又、MRP処理も受注済と計画は完全に分かれています。但し、横川ソリューションズがプロセス産業向けMicrosoft Dynamics AXのテンプレートを販売しています。

グローバルには13,000社のユーザ企業があるそうですが、日本では90社でその半分は外資系です。Microsoft Dynamicsのパートナー企業は30社あります。
100名~1,000名、50億~1,000億円の中堅市場がターゲットです。
日本ではやっと始まったばかりで、SAPやOracle EBSに代わるERPの救世主になるかどうかはこれからといったところです。

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