SaaSに期待するもの
部品化の進展度は産業の成熟度です。自動車、家電、コンピュータなど、あらゆる産業はテクノクラートによる手作りから部品化による分業化によって、発展し、成熟してきました。
ソフトウェア産業は、いまだに人月工数で見積もられる状況で人工産業を脱しできないでいます。
何十年も前から色々なソフトウェアの部品化技術が提唱されてきましたが、定着する前にいつの間にか消えてしまったり、使われていても分業化を進展させる程のインパクトはありませんでした。
ビジネスアプリケーションのシステム構造は、ホスト端末→クラサバ→Webと発展し、Webの世界ではSOAによるマッシュアップ技術が部品化、分業化を促進し、やっと人工産業を脱皮できるのではないかと期待されています。
ところが、SOAによるマッシュアップを駆使して自社のアプリケーションを構築しても、いつのまにかWebの次のテクノロジーの時代に変ってしまうかも分かりません。
自社で、アプリケーションやサーバを所有していると、常にテクノロジーの変化による陳腐化の危険に晒されます。
SaaSは、ホスト端末→クラサバ→Webといったテクノロジーの変化とは別次元の産業構造の変革です。「所有」から「使用」への変革です。
自社で「所有」しなければ、テクノロジーの変化による陳腐化の危険からは脱することができます。もちろん、サービスを提供するSaaSベンダーがこれらのテクノロジーの変化を吸収してくれることが必要です。
自社向けにカスタマイズされたSaaSアプリケーションに影響を与えずに、SaaSベンダー側でバージョンアップを繰り返すことによって、常に有効な最新のテクノロジーのメリットを享受できることはユーザにとっての福音です。