【図解】コレ1枚でわかる2層ERP
企業活動のグローバル化に伴い、経営資源のグローバルな全体最適化が求められている。その対応として、国内外のグループ企業の全拠点で単一のERPシステムを利用することで、業務やデータの連係を円滑に行い、業務プロセスの統一による経営の効率化や経営状況をリアルタイムで把握できるようにしようという考え方が生まれた。全拠点を単一の企業組織のように扱おうというこの考え方は、Global Single Instanceと呼ばれている。
しかし、本社とは異なる事業を行っていたり、海外の地元企業との合弁会社であったり、商習慣が異なっていたりする拠点においては、業務プロセスやデータ構成が本社と異なることは避けられない。このような拠点で同一のERPシステムを利用すると、現場の業務内容とのギャップを人手による運用で埋めなくてはならず、逆に業務負担が増えてしてしまうことがある。
このような状況に対処するための考え方として登場したのが、「2層ERP(Two-tier ERP)」だ。2層ERPとは、2000年代後半から提唱されてきた考え方で、本社で稼働している大規模なERPシステムとは別に、各拠点の事業内容や規模に応じて最適なERPシステムを導入し、本社のERPシステムと一定のルールに基づきデータの組み替えを行い円滑なデータ連携を図ろうというもの。本社のERPシステムを「1st tier ERP(または、コアERP)システム」、各拠点のERPシステムを「2nd tier ERPシステム」と呼ぶ。
各拠点は、それぞれの業務や規模に合わせてERPシステムを選定できるため、先に挙げた課題に対処できる。加えて、本社は、各拠点のERPシステムのデータをコアERPシステムに容易に取り込むことができ、グローバルな全体最適を実現しやすくなる。
各拠点のERPシステムは、コアERPシステムとのデータ連携が可能であれば、様々なERPパッケージの中から選定することができる。ただ、本社からの運用支援や連携を効率よく行うために、できるだけ同一のものを採用する傾向にあるようだ。
昨今、2nd tier ERPシステムをクラウド版のERPシステムで導入しようという動きが増えている。クラウド版のERPシステムは、サーバーの購入や運用管理要員の雇用のためのコストがかからず、短期間での導入できる。本社に比べて小規模な海外拠点にとっては都合がいい。更に、ビジネスの展開に合わせて機能や性能の伸縮を柔軟にできること、政治的あるいは経済的な不確実性が高い海外拠点での予期せぬ事業の撤退や拠点の統廃合にも容易に対処できることから、有効な選択肢となっている。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA
LiBRA 2019/1月度版リリース====================
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