そろそろステージを変えるときが来た
SI事業者はデジタル・トランスフォーメーションにどう向きあえばいいのか
ITソリューション塾・第27期の10回目(最終講義)は、このテーマで話をさせて頂いた。
「デジタル・トランスフォーメーション」とは新しい技術でもなければ、新しい商材でもない。あるいは、デジタル・テクノロジーを駆使して新しいビジネスを創ることでもない。様々な伝統的な仕事のやり方や社会の仕組みを大きく転換し、変革をもたらす「現象」だ。
デジタル・トランスフォーメーションを実現することで、企業はビジネス環境に即応する能力と既存のビジネスの常識を凌駕する破壊的競争力を手に入れる。
SI事業者にとって、そこには大きなビジネス・チャンスがある。しかし、製品や工数を売る収益モデルは成り立たない。求められるスキルも大きく変わる。それよりも何よりも顧客が変わる。簡単なことではない。
「製品や工数」で売上を上げることから、サービスを提供し利益を上げること、そして、サービスのシェアを高めてゆくことを考えてゆかなければならない。そのゴールは、手段としてのシステムを作って提供することではない。お客様のビジネスの成果に貢献することだ。お客様が求めているのは結果としてのサービスであって手段ではない。できるだけ作らずにサービスを実現し、ビジネス現場の最前線にジャストインタイムで提供する。変更にも臨機応変に即応する。そこに収益を求めなくてはならない。
そのために必要な「スキル」はデザイン思考、リーン、DevOps、アジャイル、クラウドとなるだろう。
そんなビジネスの意志決定は、情報システム部門ではない。経営者であり事業部門が行う。情報システム部門を無視せよという話しではない。デジタル・トランスフォーメーションの実現を主導するのは経営者であり事業部門でなくてはならないということ。彼らにイニシアティブを取らせ情報システム部門はその実現を支える。だから、経営者であり事業部門にその価値を理解させなくてはならない。そして共創によってお客様のビジネス変革の筋道を描いてゆくことが求められる。SI事業者はそのマインドとスキルを持たなくてはならないことになる。
「そういうことは、どこか大手のコンサルやSI事業者がやることで、われわれはそこからの仕事をうければいい」
そんな下請志向では、このビジネス・チャンスを活かすことはできない。「ITは本業ではない」から丸投げ外注、下請け構造も成り立ってきた。しかし、デジタル・トランスフォーメーションの実現は、「本業がITサービスになる」ことを意味する。ITが本業になるのだからユーザー企業は内製化へと大きく舵を切るだろう。そこにどう貢献するかを真剣に考えなくてはならない。
「何でもやります、何でもできます、人を提供します」では魅力がない。テクノロジーやノウハウに於いて、明確な自分たちの強みを示すことができてこそ、彼らの内製化を支えることができる。
SI事業者もまたデジタル・トランスフォーメーションがもとめられていることを自覚すべきだ。そのために何をすればいいのか、どんな人材がもとめられているのかを話させて頂いた。
ITソリューション塾・第27期は次週4月25日(水)の特別補講を持って終了する。この特別補講には、デジタル・トランスフォーメーションに大きく舵起きるデンソーからその実行責任者である成迫剛志氏を、カルソニックカンセイの子会社でカーセキュリティを手がけるホワイトモーションの社長である蔵本雄一氏を招き、ユーザーサイドの目線からこの変化を語ってもらう。
また、彼らはと共にIT業界からユーザー側へ転身した人たちだが、そんな自分のキャリアバスについても話してもらおうと思っている。さらに、今年3月末まで茨城県の広報監を勤め、いま防災科学研究所に転職した取出新吾氏にも話しを聞く。彼はインテルから茨城県、そして防災科学研究所へというキャリアを歩まれてきたわけだが、これからもとめられるマルチキャリア、パラレルスキル時代の感性について語って頂こうと思う。
次期・ITソリューション塾・第28期は5月17日(木)からスタートする。内容も刷新し、先駆的な取り組みをされているゲスト講師も招くつもりだ。ご興味があればご参加下さい。
5月17日(木)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第28期」の受付を開始致しました。つきましては、御社でのご参加をご検討頂ければ幸いです。
■デジタル・トランスフォーメーションを軸に講義を展開
デジタル・トランスフォーメーションをキーワードに、鍵を握るテクノロジーは何か、これからのビジネスがどのように代わるのか、それにどのように向きあえばいいのかを、分かりやすく丁寧に解説してゆくつもりです。また、100年人生の時代を迎え、この業界でどのように働き、自分の価値を高めてゆけばいいのかについても、考えてゆこうと思います。
■オンラインでも参加可能
第28期からは、参加登録された方はオンラインでも受講頂けるようになります。出張中、あるいは打ち合わせが長引いて間に合わないなどの場合でも大丈夫です。PCやスマホからライブ動画でご参加頂けます。
■ビジネスの現場でそのまま使える教材をロイヤリティフリーにて提供
SI事業者/ITベンダーの皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。
講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。
第27期に使用している講義資料(一部)については、こちらからご覧頂けます。第28期はさらに内容をブラッシュアップして、ご提供するつもりです。
古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思います。
日程 2018年5月17日(木)~7月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
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【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
詳しくは、こちらをご覧下さい。
「最新のITトレンドとこれからのビジネス」というタイトルの新入社員研修のためのプレゼンテーションを公開しました。よろしければご活用下さい。
内容は、以下の通りです。
- ITトレンドとサイバーフィジカルシステム
- サイバー・フィジカルシステムとデジタル・トランスフォーメーション
- ITインフラと仮想化
- サイバー・セキュリティ
- IoT(モノのインターネット)
- AI(人工知能)
- 開発と運用
- デジタルトランスフォーメーションとこれからのビジネス
- これからのビジネスに求められる人材
SI事業者やITベンダーで毎年行われている新入社員研修では、ITの基礎的な知識は教えているところはあっても、最新のトレンドやいまのビジネスがどうなっているのかを教えているところはあまりありません。しかし、自分たちの未来を託す彼らに40年前から変わらないコンピュータの基礎だけを教え、いまを伝えないのは片手落ちではないでしょうか。ITは日々進化し、役割も拡がっています。IoTやAIの進化、クラウドの普及と共に伝統的なビジネスのやり方を大きく変えてしまうデジタル・トランスフォーメーションも進行中です。
ビジネスの現場に彼らが立たされたとき、そんなことも分からないでは、お客様も不安になるでしょうし、何よりも新入社員本人が不安になってしまいます。
そんなことがないように、IoTやAI、クラウドと云ったこれからの当たり前を、その価値や可能性と共に正しく伝えなくてはなりません。合わせてITの大切さと大きな可能性を語り、この仕事のやり甲斐を伝えることは大切だと思っています。また同時に、物販や人月ビジネスの限界、それに変わるビジネス価値は何か、そのためにどのようなことを考え、どのような能力を身につけてゆかなければならないのかを正直に伝え、彼らに託す言葉を伝える必要もあるでしょう。
デジタル・トランスフォーメーションの時代を迎え、ITビジネスの本質がいま大きく変わろうとしています。こちらについては、近々「SIerのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリースする予定ですが、そういうことと合わせて、ITに求められる新しい期待とそれに応えてゆくためには、何をしなければならないかを、新入社員の時にしっかりと伝え、彼らに自覚と夢を持たせなくてはなりません。
そんな思いで作った教材です。
6月から7月にかけて、そんな新入社員のための「最新ITトレンド・1日研修」も開催しようと思っていますが、そのためのベースとなる教材です。
よろしければ、御社でもご活用下さい。
LiBRA 4月度版リリース====================
- 「ITソリューション塾」最新コンテンツを掲載しました!
- 膨大なプレゼンテーションの中から、ITソリューション塾で使用している厳選のプレゼンをテーマ毎に掲載しました。
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新たに掲載!「ITソリューション塾」最新コンテンツ
メインテーマ
- ITトレンドの読み解き方とクラウドの本質
- ソフトウェア化するインフラと仮想化
- クラウド時代のモバイルデバイスとクライアント
- IoT(モノのインターネット)
- AI(人工知能)
- データベース
- ストレージ
- これからのアプリケーション開発と運用
知っておきたいトレンド
- ブロックチェーン
- 量子コンピュータ
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ビジネス戦略編
- 【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの定義 p.18
- 【改訂】デジタル・トランスフォーメーションを主導するクロスオーバー人材 p.21
- 【新規】加速する時代のスピードに対応できる人材 p.22
- 【新規】常にテーマや問いを発し続けられる人材 p.23
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
- 【新規】Amazonのデータ収集戦略 p.30
- 【新規】IoT通信:LPWAと他の通信方式の比較 p.34
- 【新規】IoT デバイスとしての自動車 p.96
- サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
- 【新規】人間は何を作ってきたのか p.10
- 【新規】人工知能の限界 p.11
- 【新規】「東ロボくん」の実力と代替可能な職業 p.12
- 【改訂】コレ1枚でわかる人工知能 p.13
- 【新規】機械学習の課題 p.80
- 【新規】転移学習 p.81
- 【新規】学習データと結果の関係 p.97
- 【新規】自動運転レベル p.118
- 【新規】富士通 Mobility IoT 2018(動画・事例紹介) p.120
開発と運用編
- 【新規】これからの開発や運用に求められるもの p.5
- 【新規】ITについての認識の変化が「クラウド×内製化」を加速 p.6
インフラ&プラットフォーム編
- 【新規】HTAPとは何か? p.229
- 【新規】5Gと他の通信方式 p.231