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最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

新入社員を即戦力に育てたい!でも、それでだけは無理ですね

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「即戦力に育てたいというお気持ちは分かります。でもクラウドと仮想化の違い、IoTやAIについて何も教えず、それで、お客様との話題についてゆけるのでしょうか?」

まもなく新入社員が現場に配属されます。しかし、最新のトレンドについては、ぽっこりと穴が空いている企業も少なくないようです。

「うちは、現場に出て自分で勉強するように促しています。」

自助努力は必要です。しかし、ゼロから100を自助努力に期待するというのは、いかがなものでしょうか。また、どうやって「自助努力」すれば良いかを伝え、道筋を示すことも大切です。

「情報処理の基礎は教えています。」

コンピューターを構成する五大装置、処理の流れ、データベースの仕組みなど、新しいことを学ぶにしても基礎は大切です。しかし、多くがここで終わってしまいます。最新のトレンドとのギャップを「自助努力」だけで埋めろというのは、少々無理があります。

「現場で先輩達から教えさせています。」

自分の担当する仕事の範疇なら期待できます。しかし、担当している商材や彼らのやり方だけで、新しいビジネスを切り開いてゆけるとは思えません。むしろ過去の成功のバイアスに新人達が引きずられ、これからのビジネスの道筋を見誤ることも危惧されます。

誰の下で働くによるばらつきが出てしまうことも問題です。本来、新入社員研修とはそういうばらつきを排除することであり、現場実践に必要な能力を、一定レベルに底上げすることです。「先輩に任せる」とはその大切な部分を放棄するということに他なりません。また、先輩達も新しいトレンドについてゆけず、どう教えれば良いか迷っているのではないでしょうか。

では、どうすれば良いのでしょうか。

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トレンドを学ぶことの意義や価値を理解させる

「お客様の3年後に責任を持たなければなりません。」

新入社員向けのITトレンド研修の講師を務めるとき、必ず伝えるメッセージです。

「あなたが提案し、採用されれば、そのシステムは、最低でも3年は使い続けられるでしょう。そのときにもちゃんと役割を果たし、時代に取り残されていないシステムを提供しなければなりません。あなたたちがプロとしてこの仕事に就く以上、その責任を負うことになるのです。」

目先の利益や時代遅れのシステムを提案すれば、いずれはお客様にそっぽを向かれます。そうならないためには、テクノロジーのトレンドを理解しておかなくてはなりません。

「トレンド(trend)」という英語には、「時流」という日本語がふさわしいと思っています。ディスプレイに並ぶITのキーワードを脳みそにコピペして並べることではありません。なぜそのキーワードが生まれ、注目され、どのようにつながり、どこへ向かうのかといった「流れ」が「トレンド」なのです。この流れが分かれば、今の当然と未来の必然が見えてきます。それを分かって提案するかしないかは大違いです。

こういう積み重ねがお客様との信頼を育てます。「すぐにやる」、「何でもやる」、「正確に間違えなくやる」ことも大切ですが、それだけしかできない営業など「ただの良い営業」に過ぎません。

体系的な最新トレンド研修を実施する

「実感」のない提案に説得力はありません。例えば、運転免許も持たず、運転できない自動車ディラーの営業が、お客様に「是非、買いたい」と言わせることができないように、ITもまた「実感」がなければ、自分達のこれからやろうという仕事に「実感」や「期待」を持つことはできません。

また、彼らがすぐに接するであろう「仮想化」を「サーバーを分割する技術」程度にしか教えていないとすれば、お客様とまともな会話はできないでしょう。クラウドやデータセンター・ビジネスとの関係、仮想化とクラウドの違い、IoTとAIとの関係、SaaS、PaaS、IaaSの区別、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッド・クラウドの関係を知らないままで、現場でお客様と会話ができるのでしょうか。

詳細に説明することはできなくても、「何を言っているのか」が分からなければ、お客様と応対することは難しいでしょう。それより心配なのは、お客様に会うことを「怖い」と思ってしまうことです。冗談のような話ですが、お客様に行けと言われていってみたものの、何を話しているのか分からないままに、だんだん営業という仕事が怖くなり「社内ひきこもり」になっているという新人に会ったことがあります。なんの武器も与えず、丸裸で前線に送り込むわけですから、それも仕方はありません。

「俯瞰的」、「体系的」、「歴史的」にトレンドについて伝えることです。特に歴史は大切です。新しいテクノロジーが生まれてきた背景には、歴史があります。その歴史の先に未来があるのです。いまをその中に位置付けてこそ、そのテクノロジーがビジネスにどのような価値を与えるのかが理解できます。

また、人は知識を断片として記憶にとどめることはできません。「俯瞰的」、「体系的」、「歴史的」に物語を構成して、そこに位置付けることで記憶を作ることができます。トレンドは、そういう物語でもあるのです。

辞書のようなキーワード解説に終始し、物語を伝えない研修では、何の成果もあげられません。

自助努力の仕方を教える

「朝の1時間、始業前に自分の時間を作りなさい。会社でも良い、近所のカフェでも構いません。誰にも邪魔されず勉強できる場所と時間を作ることです。そこで何を勉強するかを先に考えるのではなく、まずは時間と場をつくること。それが、いずれ大きな自分の財産になることに気付くと思いますよ。だまされたと思って、実行してみて下さい。朝のゴールデンタイムを作って下さい。」

新入社員研修で必ず伝えているメッセージです。

先日、5年前に新入社員研修を受け持った営業と話をする機会がありました。彼は、それをずっと実行してきたそうです。そして、その意味がいまやっと分かったと話していました。

「学ぶ」を意識しなければ、決して学ぶことはできません。日々の仕事に忙殺されていても「学ぶ」を意識した時間を努力して作らなければ、けっして学ぶことはできません。何を学ぶかではなく、どう学ぶかの術として、私は「朝のゴールデンタイム」を進めています。

会社が提供できる研修に限りがあるのは仕方がありません。だから自助努力が必要です。

何を学ぶかではなく、学ぶ習慣や機会の大切さ、そしてその実践のノウハウを伝えることです。

いまこの業界は、大きなテクノロジーのパラダイムシフトの只中にあり、ビジネスのパラダイムシフトと相まって、新しい常識を模索しています。そんな業界に飛び込んでくる新人達に旧態依然とした知識だけを与え、これまでの常識に縛り付けるのはいかがなものでしょうか。自分達の役割をしっかりと悟らせ、新しいこと学ぶことに興味や喜びを感じ、自らも自助努力を惜しまない、そんな人材に育ててゆきたいものです。

新入社員のための最新ITトレンド・1日研修

「お客様の話しに、ついてゆけません。言葉が分からないんです。」

こんな話をする新入社員は少なくありません。もちろん経験のない彼らが仕事をうまくこなせないのは当然のことです。しかし、「言葉が分からない」というのは別の問題です。

IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることなく現場に送り出されてしまいます。そのため、お客様が何を話しているのか分からないままに、曖昧な応対しかできず、自信を無くしてしまう、外に出るのが怖いなどの不安をいだいている新入社員も少なくないようです。

そんな彼らに、ITの最新トレンドを教え、ITがもたらす未来への期待、そこに関わることへの誇りを持てるようにと企画しました。

参加費が1万円なら、懐の寂しくても自腹で参加できるはずです。また、既に新入社員研修の予算を使い切った企業でも、何とかやりくりして頂けるのではないでしょうか。そんな想いで、この金額にしてみました。また、100ページを超えるテキストは、パワーポイントのままでロイヤリティフリーで提供させて頂きます。

実施内容

  • 日時:下記日程のいずれか1日間(どちらも同じ内容です)
    • 【第1回】8月28日(月)10:00〜17:00
    • 【第2回】9月04日(月)10:00〜17:00
      • *昼休み1時間、休憩随時
  • 会場:株式会社アシスト・本社1階セミナールーム/市ヶ谷
  • 定員:50名/回
  • 費用:1万円(税込10,800円)
    • 新入社員以外(例えば、他業界からIT業界に転職された方や人材開発・研修担当の方)で参加されたい場合は、3万8千円(税込 41,040円)でご参加いただけます。
  • 内容:
    • ITビジネスの歴史と最新トレンド
    • クラウド・コンピューティング
    • ITインフラと仮想化
    • サイバーセキュリティ
    • IoT
    • AIとロボット
    • アジャイル開発とDevOps
    • これからのITとITビジネス

詳しくはこちらをご覧下さい。

ITソリューション塾・福岡・第2期 募集中!

知っているつもりの知識から、説明できる、実践に活かせる知識へ変えてゆく。そんな研修がスタートします。

東京で9年目を迎えるITソリューション塾には、既に1500名を超える卒業生がいらっしゃいます。また、昨年より大阪と福岡でも始まりました。特に福岡では、他の会場にはない「自分のビジネスを成功させるためのワークショップ」もあわせておこないます。

ITについての体系的な知識を身につけたい、提案力を高めたい、コンサルや交渉の力を高めたい。そんな皆さんのための実践的プログラムです。ふるってご参加下さい。

日程 2017年7月11日〜10月3日 全7回 13:30〜17:30
回数 全7回
定員 40名
会場 福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センター
料金 ¥65,000 (税込み¥70,200-)
全期間の参加費と資料・教材を含む
詳細 ITソリューション塾[福岡] 第2期 講義内容/スケジュール
申し込み 上記リンクのパンフレットをご参照ください。

【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 増強改訂版

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  • 何ができるようになるのか?
  • どのような価値を生みだすのか?
  • なぜ注目されているのか?

「知っている」から「説明できる」へ
実践で「使える」知識を手に入れる

  • IoT とインダストリー4.0
  • AR とVR
  • 人工知能と機械学習とディープラーニング
  • サーバ仮想化とコンテナ
  • ネットワーク仮想化とSD-WAN
  • アジャイル開発とDevOps
  • マイクロサービスとサーバレス

キーワードは耳にするけど、
それが何なのか、何ができるようになるのか、
なぜそんなに注目されているのか理解できてなかったりしませんか?

最新版(6月度)をリリースしました!

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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最新版【2017年6月】をリリースいたしました。

今月は、特にブロックチェーンや5Gについてのプレゼンテーションを充実させています。
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ビジネス戦略編
【新規】根拠なき「工数見積」と顧客との信頼関係の崩壊 p.32
【新規】工数ビジネスの限界 p.34

サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】IoTとAIの一般的理解と本当のところ p.15

サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】自動化と自律化 p.14
【新規】学習と推論 p.27
【新規】うんコレ1枚でわかる画像認識 p.34
【新規】自動運転のためのプラットフォーム p.81

サービス&アプリケーション・基本編
変更はありません

開発と運用編
【新規】「仕様書通り作る」から「ビジネスの成果への貢献」へ p.11

クラウド・コンピューティング編
【変更】パブリッククラウド p.38
【新規】クラウドの見積り方(1)と(2) p.79-80

インフラ&プラットフォーム編
【変更】ウェアラブル=身体に密着するデバイス p.21
【新規】ウェアラブル・デバイスの進化 p.22
【変更】ウェアラブル・デバイスの種類と使われ方 p.23
【新規】これからのクライアントを占うキーワード p.25
【新規】ユビキタスコンピューティング = 10年前のIoT p.26
【新規】スマートフォーム p.27
【変更】ユビキタスからアンビエントへ p.28
【新規】ビーコン 事例 p.29
【新規】VR 事例p.30
【新規】AR 事例p.31
【新規】MR 事例p.32
【新規】セキュリティ対策対象の変化 p.112
【新規】コレ1枚でわかる第5世代通信 p.209-211

テクノロジー・トピックス編
【新規】ARM:2016年の売上高は16億8900万ドル p.22
【新規】ARM:ライセンスパートナー p.23
【変更】ARM:拡がる適用分野 p.26
【新規】ARM:CPU設計から製造まで p.27
【新規】ブロックチェーンとは何か p.33
【新規】ブロックチェーンの3つの特徴 p.32-36
【新規】ブロックチェーンで使われる暗号技術 p.37-38

ITの歴史と最新のトレンド編
【新規】ソフトウェア化するモノ p.11

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新刊書籍のご紹介

未来を味方にする技術

これからのビジネスを創るITの基礎の基礎

  • ITの専門家ではない経営者や事業部門の皆さんに、ITの役割や価値、ITとの付き合い方を伝えたい!
  • ITで変わる未来や新しい常識を、具体的な事例を通じて知って欲しい!
  • お客様とベンダーが同じ方向を向いて、新たな価値を共創して欲しい!
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。2017年1月6日発売
斎藤昌義 著
四六判/264ページ
定価(本体1,580円+税)
ISBN 978-4-7741-8647-4Amazonで購入
未来を味方にする技術
人工知能、IoT、FinTech(フィンテック)、シェアリングエコノミ― 、bot(ボット)、農業IT、マーケティングオートメーション・・・ そんな先端事例から"あたらしい常識" の作り方が見えてくる。
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