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ソリューションの本当の意味とそのカタチ(1/2)

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「ソリューションとはどういう商品ですか?それはどんな形をしているのでしょうか?」

1980年代も半ばを過ぎると、メインフレーム全盛に陰りが見え始めました。ミニコンやオフコン、パーソナルコンピューターへのダウンサイジングが、大きな潮流となっていました。

高価なメインフレームに対する安価な小型のコンピューターの出現は、情報システム部門に頼ることなく、業務部門個別のニーズに短期間で対応できる魅力からどんどん普及してゆきました。その結果、ひとつの会社が、様々なメーカーのコンピューターを多数所有するようになったのです。

コンピューター単体の購入コスト(TCA: Total Cost of Acquisition)は劇的に下がりました。しかし、その一方で、データの互換性を保つことやネットワーク接続によるシステム間の連携、トラブルへの対応、システム間の整合性を保証した上でのバージョン・アップやパッチ対応などは、メーカー個別に対応しなければならなくなりました。メインフレーム時代は、メインフレーム・メーカーが保証してくれていた「組み合わせ」は、マルチベンダー化によって、ユーザー企業側に大きな負担を強いることになったのです。

また、分散するコンピューター・システムのバックアップ・リカバリー、ライセンス管理、トラブル対応などの運用管理はメインフレームのように集中で行なうことができません。そのため、会社全体のコンピューターを所有することに伴うコスト(TCO: Total Cost of Ownership)が急増することになったのです。

それでも、業務ニーズへの迅速な対応が優先された結果、マルチベンダー化は急速に拡大、部門最適化された個別システムが増殖することとなったのです。

そんな時代、世界最大のメインフレーム・メーカーであるIBMの業績が伸び悩んでいた1993年4月、IBM初となる外部招請の会長兼最高経営責任者(CEO)に就任したのが、ルイス・ガースナー(Louis V. Gerstner, Jr.)でした。

かれは、マルチベンダー・システムの組み合わせが、お客さまの大きな負担になっている現実に直面し、これまでのIBM純血主義を転換して、マルチベンダー・システムの組み合わせを一括してサポートすることを表明したのです。当時、私はIBMで現役の営業をしていました。そのころの私は、「他社製品との組み合わせを保証できませんからIBM製品で統一しましょう」と売り込んでいたわけですから、これはもう青天の霹靂です。

彼は、「マルチベンダー製品も含むお客さまのシステム全体を一括してサポートする」ことを「ソリューション」と表現しました。そして、このソリューションを提供するサービスを「システム・インテグレーション」と説明したのです。

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「ソリューション」という言葉は、既に1980年代頃から使われていた言葉です。当時のソリューションは、「プロダクトよりレベルの高い仕事をしていますよ」というための言葉であり、各社各様の定義のもと、キャッチフレーズ的に使われてきた言葉でした。また、「我が社のソリューションは・・・」というので話を聞くとパッケージソフトウェアやハードウェアであったりすることも少なからずありました。

ソリューションという言葉が各社各様に使われていた当時、IBMが示したこの定義は、時代の要請に応えるものでした。

「ハードウェアという製品を売るのではなく、組合せというサービスを売る」

IBMをハードウェア・メーカーからサービス事業者へという事業構造の転換を促す礎となったのです。

つまり、ソリューションという商品は、特定の製品を意味する言葉ではなく、「お客さまの課題を解決することであり、それはマルチベンダーを前提とした手段の組み合わせの提供を含むものである」という考え方が、受け入れられるようになったのです。

では、このソリューションという商品は、どんなカタチをしているのでしょうか。組み合せであるソリューションには、それを買う前にはまだ現物がありません。しかも組合せはお客様毎に異なります。少々唐突な質問かもしれませんが、お客様は、カタチのないものに価値を見出し、採用するかどうかの意志決定をしなくてはなならないのです。当たり前に考えるなら、カタチなきものの価値を判断しその採否を判断することはできないのです。ソリューションにもまたカタチが必要です。では、ソリューションのカタチとは・・・明日に続く

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2015年2月4日(水)より開講するITソリューション塾【第18期】の募集を開始致しました。既に、定員80名に対して半分ほどのお申し込み、参加意向のご連絡を頂きました。ありがとうございました。

第18期では、テクノロジーやビジネスに関する最新のトレンドに加え、提案やビジネス戦略・新規事業開発などについても考えてゆこうと思っています。また、アジャイル開発でSIビジネスをリメイクした実践事例、クラウド時代のセキュリティとガバナンスについては、それぞれの現場の第一線で活躍される講師をお招きし、生々しくそのノウハウをご紹介頂く予定です。

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SI事業者が生き残るための2つの戦略

従来型SIビジネスが難しくなることについて、これまでにも多くの方が語られています。これについては、私も、その理由を詳しく解説しています。詳細は、こちらをご覧下さい。

>> クラウドとSIビジネスの関係(3/3)クラウドが、なぜ従来型SI事業を難しくするのか

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  • 比較的単純な業務しかこなせないエンジニアは、クラウドや人工知能に置き換わってゆく。仮に人月型の需要があって、オフショアとの価格競争を強いられる可能性が高く、収益に貢献しにくくなる。

この事態に対処するための「アウトサイド戦略」と「インサイド戦略」について整理してみました。

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拙著「システムインテグレーション崩壊」が、「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞」にノミネーションされました。お読み頂きました皆さんに感謝致します。

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