優秀なエンジニアが、3人辞めてしまいました
「若手の優秀なエンジニアが、この一年で3人辞めてしまいました。来月もまた一人やめる予定です。いったい、どこに問題があるのでしょうか。」
あるSIerの経営者からこんな話を聞いた。僭越ながら、私は次のように答えた。
「楽しくないからじゃないですか?」
今、この会社も例に漏れず人が足りない。しかし、将来への不安は払拭できないという。しかし、新しい技術にもっと挑戦すべきだと申し上げても、そんなことをすれば、工数が減るので無理だとのことだった。
また、若いエンジニアが新しいことをやりたいといっても、品質が保証できないからだめだとチャンスを与えない。そして、そういう志のある若いエンジニアも若い=安い労働力として、既存システムの保守対応の仕事に投入されている。
新しいことに関わることは、楽しいことだ。それができる会社でなければ、良い人材も育たないし、魅力ある商品やサービスは生まれない。
SIerにとっては、良い人材こそ、魅力的な商品だ。高い技術力だけではなく高いモチベーションも併せ持った人材こそ、SIerにとっての最良の商品だ。
「優れた人材の育成=優れた商品の開発」への投資を渋れば、景気の谷間に何も売るものがなくなってしまう。
若い人たちと話していると、トレンドや新しい方法論については、ほんとうによく知っている。それをやらしてくれない上司への不満が、特に優秀な人たちのモチベーションを下げている。
年配の管理者や経営者が、あれはだめ、これはだめ、ああしろ、こうしろと言う姿に強い危機感を感じる。こういうことが、「やってられないよ」と去ってゆくきっかけを与えているのではないか。
管理者や経営者は、自分の組織を、あるいは、自分の会社をどうしたいのか、そしてどんな価値をお客様や世の中に提供したいのかというビジョンをしっかり示してほしいと思う。そして、方法論は若い人に任せてみればいいのではないではないか。
若いからと言って、かれらは決して自分のことしか考えない人たちではない。もっと会社をよくしたいと熱く語ってくれる。そういう若い人たちを信頼し任せてみるべきではないかと思うことがある。
「優秀な若い人が辞める」のは会社が楽しくないからだと、言い切ることはできないが、ひとつの理由になっていることは確かだろう。裏返して考えるなら、優秀な若い人たちは、世の中が、今何を求めているか、そしてこれからどうなるかを知っている人たちだ。そういうことに取り組めないことは、自分の成長にとって価値がないし、この会社も長くはもたないと本能的に感じてしまうのだろう。だから楽しくないと感じるのだろう。
若者たちが会社に感じる楽しさ=会社の成長性の勢い
と考えてみてはどうだろう。
忙しくてもチャレンジできる会社は楽しい会社だ。一方で「優秀な若い人が辞める」会社は、楽しくないからではないか。そんな目線で、現状を見れば、これまで気付かなかったことに気付くことができるかもしれない。
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システム・インテグレータの今と次のシナリオを考えて見ました
「システムインテグレーション崩壊」
〜これからSIerはどう生き残ればいいか?
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