手書き国産タブレットenchnatMOONがついに発売。10年後のコンピューターの未来を変えるか?
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モバイルを愛していますか?モバイル情報ブロガーの伊藤浩一です。
モバイルデバイスは、スマートフォン、タブレットなど多様な機種がリリースされており、モバイルユーザーとしては嬉しい時代になっています。しかし、iPhone、iPadの人気から、どのモバイルも似たような方向に進んでいます。
そんな時代に、従来のタブレットとは異質な製品が発売になりました。enchantMOONです。enchantMOONは、手書きに特化したタブレットとなっており、「NO UI」と呼ばれているように、ユーザーインターフェイスがない、という新しいアプローチのOSが搭載されています。そのシンプルさ故に、アグレッシブな端末になっています。
4月23日に予約が開始され、5月に発売の予定でしたが、数重なる発売延期があり、7月7日についに発売になりました。発売日に、五反田のゲンロンカフェにてイベントが行われました。そのイベントにおけるUEI清水社長のプレゼンテーションの模様を紹介します。
enchantMOONのデモ動画を紹介。何故、ハードウェアを作るのか、それは、デモ動画に引用しているケネディ大統領の言葉で説明したい。
「我々は月へ行くという選択をした。困難であるが故の選択だ。我々の漕ぎ出す海には得るべき新しい知識と勝ち得るべき権利がある。人類の発展のため それらを手に入れねばならない。」ソフトウェア会社がハードウェアを作ることは大きな挑戦であり、誰もがやりた挑戦。
今年亡くなった ダグラス・エンゲルバートは、 ハイパーテキストを開発した。ハイパーテキストは、ドキュメントを繋げて、複数の思考を有機的に繋げる画期的なアイデア。1994年にHTMLができ、現代まで非常に多く普及した。
ただ、ハイパーテキストを作る環境は不十分。UEIは2003年設立当時より、ハイパーテキストを研究している。最初に作ったソフトは、携帯電話向けの「UBiMEMO」。携帯でハイパーテキストを扱うことができる。
2004年はZekeOSを提唱。従来のOSは、アプリがデータを囲むスタイルで、データの受け渡しはインポートやエクスポートが必要。ZekeOSは、ドキュメント指向のOSで、データが中心。データがアプリを選択する。これが、MOONの目指す世界であり、ファイルやフォルダーという概念がなくなる。アーティクルを取り出すスタイルとなる。
2007年にはマルチタッチUIの研究を開始。
2008年には、iOSアプリ「ZeptPAD」「ZeptLiner」をリリース。
2010年はiPadアプリ「PLANNER NOTE」
2011年はNEC端末向け「Zeptpad FOLIO」をリリース。
10年かけて目指したものは「Simple」と「Powerful」。
今までは、スタンドローンアプリを開発していたが、次に作るべきは開発環境と定めたが、各社と話をしてもリスクが高すぎて実現せず、自社にて作ることを決意。その一つが「enchantJS」。Simple&Powerful、Easy Lerning、Practicalを実現したもの。このenchantJSを通じて開発者とコミュニケーションを取る。
今までは、スタンドローンアプリを開発していたが、次に作るべきは開発環境と定めたが、各社と話をしてもリスクが高すぎて実現せず、自社にて作ることを決意。その一つが「enchantJS」。Simple&Powerful、Easy Lerning、Practicalを実現したもの。このenchantJSを通じて開発者とコミュニケーションを取る。
そして、「Code for Everyone」を目指すが、プログラミングの壁に当たる。言語や論理的思考はなかなか万人にはできず挫折。そこで、2012年に「前田ブロック」をリリース。ミニ4駆のプロジェクトを成功させた元タミヤの前田氏が、プログラミングを全てのユーザーに簡単に操作できるようにしたシステム。海外の授業のデモでは、2週間かけて学んだことが46秒でできた、と絶賛される。6歳から60歳で行った前田ブロックのセミナーでは、7歳の子供が三角関数を使ったデモを作りあげる。理解していなくても使えてしまう環境が大事。また、子供にはタブレットが良いことを認識した。
そして「レアルマドリッド計画」を立てる。各界より最高の人材を揃える。東浩紀氏、樋口監督、東大西田教授。特に 安倍吉俊氏がデザインしたenchantMOONのハンドル部分は賛否両論あったが、結果的には付けて良かった。新しい端末を作る上で大事なことは、意味のあるジャマなものであること。没個性では意味がない。「ハンドル」「筐体のマグネシウム合金」「デジタイザ」に関しては、量産機では実施は難しい企画ではあるが、enchantMOONでは実現した。その他にも多くのスタッフが関わっている。
生産にために中国に長く滞在したが、何度も心が折れそうになった。その時に支えられたのは、予約をしてくれたユーザーやネットからの声だった。
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