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クラウドサービスを使わずに実現する災害対策

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こんにちは。雪が溶けて川になって流れてゆく光景を未だ目にしたことがない松井です。

東京生まれコンクリートジャングル育ちの辛いところですね。

さて、前回までのエントリーではクラウドサービスを活用した災害対策について述べてきました。今回からはクラウドサービスを使わずに行える災害対策を書いていこうと思います。 

クラウド サービスを利用しない災害対策でも基本的にはデータを守ることと業務環境を確保する方法を検討していきます。 

ここでは考えられる対策として下記の3つを挙げます。 

  • VPNによるリスクの分散 
  • 外部からのネットワーク アクセス 
  • データセンターの活用

VPNによるリスク分散

事業継続と災害のリスクを考えると、リソースを一箇所に集中させておくことは大きなデメリットになりかねません。したがってリソースの分散をしておくことが有効な災害対策になります。そこで利用する技術がVPNです。 

VPN とはインターネットを介して2つのネットワークを繋ぐための機能です。この機能により、例えば東京と大阪に事務所がある場合には、お互いのネットワークにアクセスすることができるようになります。そして、それぞれの事務所にサーバーを設置し、データの複製を持つようにしておけばどちらかの地域で大規模な災害が起こっても業務を続行できるということになります。このように拠点間を接続するVPNは、この機能に対応したルーターを使って実現します。例えば YamahaのRTシリーズやRTXシリーズが該当します。

  VPN接続イメージ   

ただ、もともと支店や支社があるような企業であればいいのですが、本社のみで運営している企業にとってはコストの問題が大きくのしかかってきます。また、従業員についてもわざわざ他県に移転して働いてくれる人がいるかどうか、といったことが悩ましいです。こういった部分をクリアできるならば有効な対策となるでしょう。 

データセンターの活用

上述した複数拠点を用意し、資産を分散することが難しい場合にはデータセンターを活用することも検討してみましょう。 

データセンターであればサーバーを一箇所で管理できるので運用が煩雑になることはありません。さらに、災害の状況に応じて接続先を切り替えるといったことが不要になります。IT技術に疎い人でも、最初に設定された方法だけで対処できるので便利なのではないでしょうか。 

ただし、データセンターを利用するための費用がかかること、災害に強いデータセンターを見極めなければいけないなどITの運用に関する知識が求められます。このあたりは自社の技術力やリテラシーと照らし合わせて必要な方法を選定する必要があるでしょう。

外部からのネットワーク アクセス

3番目に考えるのは外部からのネットワーク アクセスです。 

震災などにより交通機関が麻痺した場合に、従業員が事務所に行くことができないという場面は大いにありえます。そこで、業務を続行するためには自宅からでも社内のネットワークにアクセスするための機能が必要となるのです。 

この環境を実現するためにもVPNが役に立ちます。 

VPN の機能は上で述べたルーター以外にもPC用のソフトウェアやモバイル デバイスでも実現することが可能です。YamahaであればVPNクライアント ソフトウェアが用意されています。iPhoneやiPadではOSに標準でVPN機能が搭載されています。これらの機能を使用すると、PCやモバイル デバイスから直接事務所のネットワークに入り込むことができるようになるのです。 

端末からのVPNアクセスイメー 

ただし、この方法で業務を行うためには従業員の手元にあるPCに必要なソフトウェア、例えばMicrosoft Officeや販売管理ソフトなどがインストールされている必要があります。iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスの場合にはそもそもファイル サーバーにアクセス出来ないので業務アプリケーションをウェブ化するなどの対策が必要になるのでかなりの手間です。 

そこで、モバイル デバイスからでも現在保有しているソフトウェアで業務を行うための対策が必要になります。 それを実現するのがアプリケーションの仮想化技術です。 

そこで次回はアプリケーションの仮想化技術についてお話ししたいと思います。 

>> あらゆるデバイスから利用できるアプリケーション環境の構築

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