Azure大隊の所属変更が意味するのは宣戦布告の前触れか?AzureはWindowsServerチームに
マイクロソフトにきて1年。
やはり日々感じるのは組織の大きさ。縦割り、大企業病と揶揄する声も正直分からなくはないが、これだけの
大組織を、しかも個性の強いメンバーを、しっかりと動かすトラクションが効いているのもまた事実。
組織運営に関わるさまざまな施策の多くは、形骸化することなく機能しているようにみえる。
これまで、RayOzzieの庇護のもと、スカンクワークスのように独立愚連隊的な動きをしてきた
Windows AzureチームがWindows Serverなどのサーバー、ツール製品を担当するBob Mugliaのチームに
所属変更することになったとの旨、Windows Azureチームの公式ブログで報告されている。
この話自体は、社内では以前から調整が進んでいたのだが、関係者以外はこの報告を上記ブログではじめて
知ったというマイクロソフト社員も少なくない。新機能追加の報告ならまだしも、人事発令的な話までブログが先
というのもいささかやり過ぎ感があるように思えるが、そのくらいのヤンチャさが残っていれば健全だろう。
みなさんの中には、そんなマイクロソフトの社内事情興味はないし、製品チームの公式ブログでわざわざ外に
知らしめることでもないだろうという受け止め方をされる方もいるかもしれないが、この所属変更は多くの人に
影響を及ぼす可能性を秘めている。
まず、Bob Mugliaチームに移ったということは、本格的な戦闘態勢に入る準備をしていることを示している。
これまでは、技術的な先進性が主な達成目標だったのだが、2010年1月以降の正式サービス開始を見越して、
商品としての価値をよりいっそう高めてゆく方向に注力することになるだろう。今回の所属変更では、
開発部隊だけでなく、Windows Azureのマーケティング部隊も同じくBob Muglia傘下となっている。
マイクロソフトおよびパートナー企業が展開する営業チャネルを通じて、今後Windows Azureがより多くの
お客様に届けてゆくことができるだろう。AmazonやGoogle、Salesforceとのアプローチ方法の違いによる
チャネル力の差は、いずれ戦局に影響を及ぼしてゆくことになると思われる。
また、Windows Serverチームと同じ組織というのも競合からみるとイヤなところかもしれない。
ソフトウェアライセンスビジネスであるWindows ServerやSQL Serverと、Windows Azureの収益責任は
同じ部隊で背負うことになる。したがって、Amazon EC2でWindows環境が使われると、SPLA(のような
ものと思われるが特別かも。詳細は未確認)ライセンスが発生し、マイクロソフトにもたらされる収益も、
Windows Azureが売れたことによる収益も、同じ部隊で管轄されるのだ。お客様目線で柔軟なクラウド提案を
してゆくためには、このような体勢面での整合性をとっておくことも大事なことだと思う。
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あらゆる面で連邦軍的なマイクロソフト内の話なので、レビル将軍直属からどこかの所属に移ったという
ことなのだが、我々がティターンズとエウーゴの内紛さえおこさなければ、アクシズに勝ち目はない。
ライセンスとサービスビジネスの融合、言うは易く行うは難し。どうケリをつけてゆくのか、
内部から見守ってゆきたい。