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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

四半世紀ありがとう!UNIXマガジン最終号に思うこと。Azure特集号のお買い求めは今日中に

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クラウド関連の集まりの特長の1つに、若者がイキイキしているだけでなく、
40代、50代あるいはそれ以上の比較的シニアな大先輩の方々が熱い議論を
繰り広げていることがあげられる。最初にさわったマシンや言語は何だったか?
というあたりから始まる若干の昔話の中で、互いの経験や力量を推し量りながら
話をすりあわせて意気投合、という流れである。

私は決まって若者役担当なので「最近の若者はAJAXとかにかぶれて…」と思われる
のだろうが、見た目以上には経験、修羅場を積んでいることを理解してもらて初めて
仲間に入れてもらえるのである。確かに、名門cs.titech(東工大の計算工学専攻)
そのものの出身ではないにせよ、4年も東工大にいればUNIXやCを題材に、OSやら
コンパイラやらのおおよその仕組みは、嗜み程度に身についている。もちろん、
オラクルでの経験によるデータベース構造の理解も今となっては大変役立っている。
学生のうちからPL/SQLの開発の仕事などもさせてもらってはいたが、アプリ開発の
スキル云々というよりは、リレーショナルデータベースというモノがどうやって
動いているか、といった基本構造の理解の方がよほど重要となっている。

先週、ASCII.technologies創刊号のWindows Azure特集の各記事を執筆いただいた
方々とお会いする機会があったのだが、その席上、同じく臼田氏が編集長を務める
UNIXマガジン最終号の見本誌を読ませていただいた。ご存じない方もいるかも
しれないが、UNIXマガジンは今回で最終号となり、Networkマガジンと統合して
もう少し幅広いテーマを扱う月刊誌ASCII.technologiesとなっている。
新創刊のASCII.technologiesは月刊ということもあり、もうじき書店には次号が
並んでしまう(前回は23日売)であろうから、もし書店で赤い表紙の
Azure特集号を見かけたら、迷わず即買いをお勧めする。

さて、ユニマガ最終号の総力特集は「UNIXの未来」であり、Windows Azure特集でも
ご執筆いただいた丸山先生が、丸山先生とUNIX/Cの関係を誌上にて熱く語っている。
「稚北の丸山先生」といえばJavaという印象を私も持っていたが、技術的に
面白いテーマに貪欲に取り組まれ続けている姿勢には改めて頭が下がる。
携帯端末などの非PCの分野ではANDROIDに、そして、クラウドの分野では
ありがたいことにWindows Azureに深い興味を持っていただいている。

クラウド、というとどうしてもコスト削減やらビジネスモデルの変革に備えよ、
といった論調が多くなりがちだが、コンピュータサイエンスのレベル向上に
寄与するまたとない機会であると考えている。

今の私の立場で言うのもなんだが、日本では特にOSレベルでデファクトを掌握
できなかったがために、ややもすると、興味関心の度合いが比較的低く、
既存の枠組みを盲目的に受け入れてしまっている技術者の割合が高いのでは
ないかと思う。Linux関連を中心に精力的な活動を展開されている方々も
おられるが残念ながら少数派と言わざるを得ない。

そのような状況の中、クラウドコンピューティングという今までにない
ハードウェア、ネットワーク、サービス要件に適したOSを、またゼロベースで
考えてみよう、作ってみよう、という流れが今起こっているのである。

例えば、データの永続化の仕組みにしても、階層型のファイルシステムを盲目的に
引き継ぐのではなく、スケーラブルで可用性が高く、それでいてさまざまな
メタデータをKeyとしてアクセスできるKey Valueストアが注目を集めており、
GoogleもAmazonも、もちろんWindows Azureも、その初期的バージョンを
実装しサービスとして提供しはじめており、今後発展してゆくことになろう。

その際、必ずしも技術的に優れたものが誌上でデファクトとなるわけではない
ことはOSに限らずさまざまな市場で繰り広げられているので言うまでもないだろう。

そうはいっても、クラウド側のOSは手触り感がなくて気持ち悪いという方には、
是非 Windows Server 2008 R2 を試していただきたい。もちろん数百万台規模の
ファブリックを扱う前提のWindows Azureと全く同じというわけではないが、
最大256個の論理プロセッサを扱い、ライブマイグレーションにも磨きのかかったR2は、
仮想化という観点においてプチAzureのような仕上がりになっている。
2008 R2の詳細については追ってこのブログでも紹介したい。

U.C.0079年の1年戦争当時、圧倒的な性能で白い悪魔と恐れられたRX-78ガンダムと、
その系譜に従い連邦軍の技術を惜しみなくつぎ込み、U.C.0087年にロールアウトした
RX-178ガンダムMk-IIとの間には、7年間に進化した技術レベルの向上が寄与している。

7年の時間こそ経過はしていないが、仮想化を中心とした近年の技術向上の恩恵を
つぎ込んだ"R2"は、もはやマイナーチェンジではない。

「ガンダムMk-IIという奴か、マイナーチェンジのくせにっ」(パプティマス・シロッコ)


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