ククルス・ドアン的な生き方に敬意を表して。クラウドは半農半Xを促進できるか
農家デビュー。SPAが焚きつけているのか不況のあおりかわからないが
にわかにブームになりつつある中、戦場で轡を並べた私の仲間が先日農家デビューを果たした。
まずは彼の生き様、判断、先見の明に敬意を表してここにご紹介させていただきたい。
こだわり有機野菜を栽培するGOLDEN GREENの農場主となった在賀氏は、
かつて私が所属していたリアルコム社が誇るエースコンサルタントのひとりだった。
「エンタープライズ2.0」や「SNSビジネスガイド」の著者のひとりでもある。
同業他社への横滑りならともかく「農家になります」と退職の意を伝えられた際、
「がんばってね」としか言いようがなかった記憶がある。
農家もプロフェッショナリティの高い仕事なので、都会育ちの若者が一朝一夕に
畑で野菜を栽培できるようになるわけもなく、農業研修の下積み期間が必要になる。
その過程を経て、まったくの異業種に見事キャリアチェンジを果たしている。
ご興味のある方は彼の作った野菜を食べてみていただきたい。
さて、彼のように都会を離れて地方で農家暮らしをしたい、という人々は意外と多いらしい。
中には在賀氏のように、農家を志す前の世界で高い能力を持っている方もおり、
それを活かした半農半X(エックス)というライフスタイルが提唱されている。
提唱者である塩見直紀氏は、「持続可能な農ある小さな暮らしをしつつ、天の才
(個性や能力、特技など)を社会のために生かし、天職(X)を行う生き方、暮らし方」
と半農半Xを定義されている。言うは容易いが物理的に割ける時間が限られていたり、
人によってはあくせくした世の中からの隔離を求めている場合もあるだろうから、
その実現は難しいのだろう。育児や介護と同じような、あるいはそれ以上の
ライフバランス感覚が求められると思われる。
農家デビューを密かに狙う人々の中にITエンジニアがどの程度いるかはわからないが、
クラウド・コンピューティングの浸透がこの動きを支援できることはないだろうか。
Azureに先行してビジネス展開をしているAmazonの状況を見るに、新しいビジネスの種を
模索する大手ソフトベンダーはもとより、個人または小規模の開発者集団にとって、
開発環境やサーバー設備を持たずにすむメリットが受け入れられているのだろう。
また、実体験ではないので推察の域を出ないが、半農半Xを志す場合、よほど強い覚悟を
持つ人以外は、これまでのスキルを活かすことができるという安心感が重要かもしれない。
住環境も本業も全部新しいことだらけだとさすがに気が滅入るのではないかと思うが、
Visual Studioと.NETの知識があれば、あるいはEclipseとJavaの知識さえあれば、
少なくとも半Xの部分は大丈夫という心の支えになれるのではなかろうか。
ありがたいことに日本は国土が狭いこともあって地方に移住してもネットワークは
利用できるケースが多い。となれば、エンジニアが独立をする際の選択肢の一つに、
半農半X的な生き方も入ってくるようになるのではないか。設備を持たずにすみ、
今までのスキルを生かせるクラウドの発展が彼らを支援できるようになれば嬉しい限りである。
そしてそのような生き方を選択する人々が今後多くなるのであれば、
独立農家向けSaaSパッケージソリューションでもそのうち誰かが作るのではなかろうか。
販売のECサイトから顧客管理、作付け計画に機材の融通など、素人ながら
機能はある程度汎用化できそうな気もする。
残念ながら在賀氏は今のところ全身全霊農家一筋の姿勢のようだが、
ククルス・ドアンのようにMS-06CザクII初期型を隠しているのか、
いやはや、ケリィ大尉のようにMA-06ヴァルヴァロを整備して時が満ちるのを待っているのか、
と、半分でもよいので復帰してくれることを期待してしまう。
ちなみに、写真を見ていただければわかると思うが、
本人達のキャラはどちらかというとキラ&ラクスに近い美形夫妻。
裏山にZGMF-X10AフリーダムとLCAM-01XAアークエンジェルでも隠し持っていそうな雰囲気だ。
リアルコム在籍時お客様からも「王子」と慕われていた在賀氏が、
混沌とした戦況を見かね、颯爽と現れてくれるかもしれない。