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Oracle Open World会場にてマイクロソフトのイベント実施方針との違いについて書いてみる

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会場からレポート、といっても、おそらくキーノートや個別セッションの内容は
いろいろな方が報告されると思われるので、宿敵?でもあるマイクロソフト側の
人間として、過去を知るオラクルOBとしてイベント自体についてコメントしたい。

初日到着したのはキーノートも終了した14時前。若干人の入りが寂しい気もするが、
セッション実施中の時間帯はこんなものか。おそらくマジメに受講されている方が
多いということだろう。と思いきや、展示会場をみると設営中…そういうことか。

この投稿を会場内で書いているのは、ビジネス系、開発者系、お客様向け、
パートナー向けを1つのイベントでまるっと括るのは無理があるのではないかと感じたためである。

その昔、幕張や国際フォーラム、東京ドームでやっていた頃のOOWは、
業界あげての「お祭り」だった。お祭りはとにかく人が集まって盛り上がらないと
意味がない。したがって、某アーティストのライブでもなんでもやってまで
話題をつくって間口を広げて「勢い、雰囲気を感じてもらう」ことに
大きな意義があったのだと思う。

特に、オラクル社の世間一般に対する認知・ブランドを獲得するまでの間は、
「すごいぞ」と感じさせる話題作りは、判断に迷うお客様の背中を押すという
ビジネス上非常に大きな意味を持っていたと思われる。

当時は新卒採用も例外ではなく、OOW会場内でド派手な演出の説明会をしており
「この会社よくわからないけどすごそうだ」という感覚を深く印象づけられた
記憶がある。

しかし、Sunをも飲み込む規模のオトナな会社となったオラクル社にとって、
このような「お祭り」は必要なのだろうか。
今回のOOWでは、買収の影響もあってかビジネス系のセッションの比率が高い。
同時に、開発者向けの詳細技術セッションもある。これらを同じ会場で
実施することにどれほどのシナジーがあるのだろうか。

私が今所属している宿敵?マイクロソフトでは、ご来場いただくお客様の属性によって
技術者向け、ビジネス向け、パートナー向けなどイベントを分けて開催する傾向がある。
例えば、技術者向けイベントだけをとっても、私が比較的深く関わるものだけでも
エッジなテクノロジを中心としたPDC(各国版はTechDays)、
現行テクノロジを詳細に解説するTechEd、
Webやユーザーエクスペリエンスに絞ったMIX(各国版はReMIX)があり、
他にもフューチャーテクノロジーDaysなど1,000名超規模のカンファレンスが
日本でもいくつか開催させていただいている。

マイクロソフトの全部入り×全対象イベントは存在しない。
ご来場いただくお客様目線で論理的に考えてみれば正しい選択といえる。
経営におけるITのインパクトの話を技術者にしても興味を持ってもらいにくいし、
非IT部門の企画担当者がC#のコード解説をされても困るだろう。

しかしながら、やや感傷的なところもあり、IT業界が盛り上がっていた頃の
「お祭り」は本当に不要なのだろうか、誰かがやらなければならないのではないかと。

「オレのビジョンについてこい」というオレ様キャラ的振る舞いができる企業は
世の中そう多くはない。合従連衡の結果、ビジョンと規模を伴って行動できるのは
アップル、グーグル、オラクル、マイクロソフトくらいであろう。(独断&偏見)

お客様目線を重視するということと、求められているニーズに応えていればよい
という姿勢の意味するところは異なる。業界全体が停滞する今、オレ様的ビジョンに
対するニーズがどの程度あるのか、気になるところではある。

さて、以下OOWの状況。

今いる場所は「OTNラウンジ」。
受付完了後、展示会場の方に降りていくと場所はよいのですぐわかる。
WiFiや電源があるのでノートPC持ち込み派にとっては便利。
飲み物とポテチも用意された休憩スペースである。

しかしこの乾いた空気感はなんなのだろう。
天井が高い、音が響く、会話することが何となくはばかられる雰囲気…。
カフェ感がない…。音楽を流す、おやつを豪華にする、水をコーヒーにする。
会場の物理構造もあるのだろうけど、いっそどこかのレストランやバーを
借りて会場に仕立てた方がよかったのではなかろうか。
よい取り組みだと思われるので、次回以降に期待したい。
このあたり、Javaコミュニティを支えてきたSunの買収で今後改善されて行くのだろう。

同じような場はU.S.で行われるカンファレンスではよくある光景の1つである。
カンファレンスというのは、多くのエンジニアやプロフェッショナルが集まる場
であり、知識を得ることより交流することに重きが置かれている。
実際、マイクロソフトのカンファレンスでは、資料ダウンロードとセッション
ストリーミングが提供されており、現地ではいかに交流を促すかに焦点をあてている。

厳しい予算の中、寝耳に水の試練の中、創意工夫でがんばっているように見えました。
現在の所属組織は微妙ですが、卒業生として陰ながら応援しております。

最後に今日気になったセッションの内容。
「オラクルCIOが語る次世代データセンター構築によるグリーンIT化とコスト削減の実践」
セコイアプロジェクトという名称で進んでいるユタ州の新設データセンターでは、
高地の外気冷却を活用してPUE1.3を実現するそうだ。PUEはデータセンターの電力効率を
示す指標で、現在の水準は標準的なところで1.x後半、1.2台が最高値とされている。
計測単位の詳細は不明だが、年間電力コストは1サーバーあたり
従来 $276 だったものが $163 に改善されているらしい。エコを訴求していた。

私のUnconferenceセッションは金曜日12:20から。
OOWご来場の際にはOTNラウンジにお立ち寄りいただきたい。

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