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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

ゼータの鼓動。SQL Data Servicesにみるクラウドデータストレージの現実解

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ここ数日お騒がせ (1) (2) (3) しているマイクロソフトのクラウド環境における
データサービスの件に触れておきたい。
そう、いよいよZ計画の真骨頂、MSZ-006 Zガンダムについて語るときがきた。

とはいえ、オープンにしてよい情報が限られているので、
SQL Data Services開発チームブログ(英語)で語られている内容を
個人的な推測とともにひもといてゆきたい。

まず、前提知識として知っておいていただきたいことがある。
Windows Azure を包含する統合開発環境 Azure Services Platform では、
2種類のデータストレージが提供されている。
Azure Storage Servicesと SQL Data Servicesである。

誤解を恐れず簡単に説明するならば、Azure Storage Servicesが
いわゆるクラウド的なアーキテクチャであり、
SDSは従来のRDBMS的なインタフェースを提供する役割を担っている。

そして、アーキテクチャ変更の一件でお騒がせしているのはSDSの方であり、
T-SQL(OracleでいうところのDeclare BeginからはじまるPL/SQLスクリプト
みたいなもの)を含むRDBMSとしての機能をサポートするという内容が
公開された。コメントの中では、最終化されたリストではないと断りを入れながらも、
T-SQLだけでなく、TableやStored Procedure、Trigger、View、Index、
Visual Studio 互換性、ADO.Net 互換性、ODBC 互換性などの機能を
チェックしていると記載している。

クラウド環境におけるデータベースは、従来Key-value形式を中心とした、
互換性のないアーキテクチャが主流であった。
確かに、整合性やトランザクション一貫性を犠牲にしつつ、無限の
スケーラビリティや可用性を手に入れたい、というニーズも巨大Webサイト
サービスなどを中心に存在するが、エンタープライズユースの場合には、
トランザクション処理は欠かせないという結論に、これまでのテクニカル
プレビューで得られた評価から至ったということだ。

難しいことをいわずにとりあえず手元の環境をクラウド側に移行したい、
という運用効率化やユーティリティコンピューティング的な発想のお客様も
少なくない。従来のソフトウェア資産を活かしながら、最終的に完全な
クラウド対応でスケーラビリティのメリットを享受するステップとして、
SDSを利用したクラウド側の運用に移行できることは、
ユーザー企業にとっても、ソフトウェアベンダーにとっても現実的な
落としどころではないだろうか。

最小限の改修でアプリをクラウド側に移行した後、個々の機能要件から
エンティティごとの特性を見直し、Key-valueに移行したいものがあれば
そうすればよいし、RDBMS的管理でもよければそのままにすればよい。
さらに、どうしても厳密なリアルタイム性や一貫性を求めたい機能があれば、
無理にクラウドに置いておく必要はない。
その部分だけをオンプレミスのSQL Serverにもってくればよいだけである。
デプロイ先の選択の自由度は、ソフトウェア+サービス戦略に基づく
Azureの包括的な世界観の強みのひとつなのである。

そんなことならアマゾンのEC2にOracleをのせれば解決するだろう
という意見もあるだろうが、せっかくのクラウド環境なのに
OSやミドルウェアの管理を気にしなければならないのであれば、
手元に置いておいた方が安心だろう。Azure Storage Servicesにせよ
SDSにせよ、運用管理の自動化も利用者が享受する大きなメリットだ。
クラウド上に分散したサーバー群に、サービスを止めないよう
保証しながらパッチあてや動作確認を行わなければならない状況は、
想像しただけでぞっとする。
そのあたりを任せられる安心感をAzureでは提供できるだろう。

さて、本ブログにおいて「Zガンダムの世界観で」といいながら
「Z(ゼータ)ガンダム」がさっぱり出てこないじゃないか!
という声も聞こえてきそうだが、現在では主流になった主役機交代も、
ガンダムシリーズにおいてはゼータが発祥であり、まだグリプス戦役が
勃発すらしていない現状においては、ようやく鼓動が聞こえるという段階だ。
しばらくはビジネス面で先行するガンダムMk-IIが支えることになるだろう。

AMBACを活かせる機動性の高いモビルスーツ形態から、スラスターを
後部に集中して移動力を高めつつ、空力的な浮力で重力下での運用性を
向上できるウェイブライダー形態への変形機構は、
それまで背反と思われていた性能を両立させる画期的な技術であった。
Azure Storage ServicesとSDS、さらにはオンプレミス側のSQL Serverの
組み合わせにより、拡張性、可用性、整合性のバランスをとった
アプリケーション開発が実現できるようになるだろう。

なお、本投稿での内容は、あくまでSDS開発チームのブログで
オープンになった情報と、私の勝手な推測で構成されており、
マイクロソフトの公式見解ではないことをご理解いただきたい。

私も来週参加するMIX09@ラスベガスでの発表が楽しみだ。
このブログでもMIXの状況をお伝えする予定なので、現地時間18日以降は
引き続きこまめに更新をチェックしていただきたい。

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