セミナー速報:クラウドが経営とITに与えるインパクト
「クラウドの衝撃」はすでに16,000部売れているらしい。
日経コンピュータ主催のイベント「クラウドが経営とITに与えるインパクト」に参加している。
年度末かつ有償セミナーであるにもかかわらず会場は盛況だ。
じきにIT Proなどで内容が掲載されるかもしれないが、概要をお伝えすることにする。
日経コンピュータ桔梗原氏の挨拶の後、経産省野村氏が登壇。
経産省の方らしく景況感から助成金・補正予算のお話。
ITコーディネーター協会の後援を受けているらしく、Audienceの中心に想定しているようだ。
他の類似セミナーと比べるとややシニア層の比率が高い気がする。
その後の桔梗原氏の発言によるとSI'erの方が多いようだ。
さて、野村氏によると、資源エネルギー庁と進めているグリーンITクラウドで昨年度30億円、
来年度は60億円の予算をつけて推進しようとしているということである。
欧州では各国が連携して日本より多額の予算を投入しており、
米国はもちろん、SaaSが進展している韓国の動きも速く、政府としても気にかけている。
SaaS研修予算も18億円つけているので啓蒙活動にいそしんで欲しいとのことだ。
続いて「クラウドの衝撃」の著者であるNRI城田氏。
城田氏によると日本におけるクラウドブームの火付け役は昨年10月に放送された
NHKの「クラウドの衝撃」という番組だったとのこと。ただ、番組構成で7割くらいが
Salesforce社の話で、あれがクラウドのすべてだと思われても困るという思いもあり
追記・編集に時間をかけ、書籍を出版されている。
論点は下記の4点。
1.クラウド・コンピューティングとは何か?
2.雲の中身はどうなっているのか?
3.主要プレイヤはどのような取り組みを行っているのか?
4.クラウド・コンピューティングで何が変わるのか?(ユーザーにとって、ベンダーにとって)
内容はそれぞれ城田氏の「クラウドの衝撃」に準じた話であるが、
例えば、HaaSを提供するAmazon Web Serviceの上に独自の開発フレームワークや
ミドルウェアをのせてPaaSとするような動きが活発化しているなど、
最近のトレンドをアップデートしている。仮想化の図ではコストをかけられない
という観点からLinux + Xen + hadoopが主流となっていると説明している。
マイクロソフトの取り組みについても、他のクラウドイミグラント
(GoogleやAmazon、Salesforceなどクラウドしか持たないプレーヤーをクラウドネイティブ
と呼ぶ対義的意味合い)であるIBMやオラクルがクラウドネイティブと連携しながら
準備を進める中、独自路線を展開しようとしているというフリから、
ソフトウェア+サービスの戦略意義や、Azureにおける相互運用性を重視した取り組みを
的確に、かつ説得力を持ってお話しいただいた。
続いてローソンCIO横溝氏の講演。
先週末3/20の日経新聞記事から関口和一編集委員の今を読み解く「ネットからクラウドへ」の
紹介と「クラウド化する世界」の水車と発電所の引用からはじまる。
横溝氏曰く「クラウドが3年、5年で消えることはない。なぜならユーザーが望んでいるから」
彼の講演を聞くのははじめてではないが、独特の迫力をお持ちだ。
SI'erを含めほとんどのITベンダーにとって、彼の切れ味鋭い既存のITへの批判は
ある意味脅威かもしれない。(ローソンの前はi2の社長だったこともあり内情もご存じで)
今はいたくSalesforceを評価されているようだが、願わくばクラウドに本気で取り組む
マイクロソフトの意気込みを伝えゆきたいものである。
なお、5月中旬に開催されるSODECにて城田氏とともにセッションを行う予定である。
有償セッションとなってしまうが、そのためいつも以上に客観的なお話をさせていただく
用意をしているので、ご興味ある方は是非ご来場いただきたい。