オルタナティブ・ブログ > Azureの鼓動 >

クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

クラウドコンピューティングフォーラム速報。アクシズの核パルスエンジンを観測

»

クラウドコンピューティングフォーラムというイベントに朝から参加している。
9:30スタートというやや厳しめな時間設定だが、約500席の会場は開始前にほぼうまっている。
正直なところ見覚えのある顔も見受けられるが、クラウドコンピューティングに対する興味は、
他のIT領域が盛り上がりに欠ける今、衰えを知らないように見える。

メディア主催ということもあり、イベントレポートはほどなくWebに掲載されることになると思われるが、
ここでは、このブログの視点で、参加者のひとりとしての私見を述べさせていただきたい。

主催者のご挨拶なく最初の講演がはじまる。
Amazon AWSのテクニカルエバンジェリストであるSimoneさんのお話。
キーノートなので仕方ないが、Simoneさんによる講演はAWSの概要説明にとどまった。

聞き覚えのある一般論が多かった。が、この感覚が現状のクラウド周辺では難しい。
関係者にとっては耳たこでも、興味のない人には新鮮に聞こえる。
逆に踏み込みすぎた話をすると理解してもらえない場合がある。
対面の場合にはすりあわせしながら進められるが、講演など1:Nの場合はそうはいかない。
前提知識の想定が非常に難しいのである。

しかも、Simoneさんの場合は同時通訳を意識してゆっくり話す、しかも彼にとっての
第二外国語である英語で。さらに、冒頭はがんばって日本語で挨拶していた。
気さくなイタリア人のようである。かつてドイツの会社に勤めていた経験からも、
各国の特殊性に気を配れる、日本人受けする話し方は米国の人よりヨーロッパの人の方が格段にうまい。
プレゼンでtwitterのIDを紹介してくれていたのでフォローすることにした。

内容は一般的であったがAmazonのAWS担当者が直接講演する機会はレアであったこと、
実際の適用事例も日本の学びing他複数紹介されていたことから、参加者の皆様にとって
早起きする価値のある講演であったと思われる。

次はSaleseforce.com(SFDC)のCMOであるケンドールさんのお話。
SFDCの話を聞いていていつも思うことだが、SaaSとPaaSの話が入り交じっている。
すでにシェアと認知を持つCRMのアプリの価値を生かすためにあえてそうしているのだろうが、
クラウドコンピューティングという枠組みを理解したいという段階の人々にとっては、
混乱を招く可能性もあると思われる。

PaaSとして一般に提供しているForce.comの上で、SaaSであるCRM他のアプリを提供している、
という構図であり、クラウドコンピューティングというからには、自前アプリのCRMの他に
有力なアプリをForce.comに呼び込むことが必要なのだろう。

クラウド化を牽引しているSFDCには我々も敬意を払っているが、NO SOFTWAREというコンセプトは
どうも腹落ち感がない、と思うのは私だけだろうか。そういわれても急には変われないし、
現実的ではなさそうにみえてしまうのである。

加えて、ソフトウェア所有をサービス化することが本当に安いかどうかはケースバイケースである。
契約の自由度が高まるなら、それほどにビジネス環境が激しく動き、従業員数が1年で倍になるような
アーリーステージの会社ならわからなくはないが、使い続けることがほぼ決まっているのであれば、
まとめ買いによって高い割引率を引き出して償却していった方が企業のオサイフに優しい。
ただ、SFDCの事例他で見えている世界観がCRMとその周辺にとどまるのであれば正しい見方かもしれない。
ユースケースとして説明していた技術サポートの問い合わせ・解決処理の大半が
クラウド上で行われるという世界観は、あながち遠くない将来に実現するだろう。
ただし、ある条件で成り立つ特殊解と一般解とを混同しないよう注意が必要である。

このブログの視点で捉えると、クラウド専業ベンダーの戦力の大半は、宇宙空間での戦闘、すなわち
Webブラウザを通じたライトなアプリケーションを前提としたものに偏りすぎているように見える。
実際には多くの資源を産出する地上での戦い、すなわち基幹系や生産性を高めるオフィス系アプリなども
戦局を大きく左右するため、その折り合いの付け方に悩むことになるだろう。宇宙側の視点で考えられた
アクシズの宇宙空間用に最適化した機体は、そのまま重力下で使用することはできないものも多い。
反面、地球連邦軍と連携したエウーゴの戦力の大半は地上でも宇宙でも問題なく使えるよう配慮されている。
その分必要となる開発レベルは高く、生産に資金やコストはかかるが、プラットフォームベンダーとしての
責任を全うする覚悟があると、内部にいると肌で感じられる。

今回のイベントではマイクロソフトはキーノート的な講演をしなかったが、どちらの会社も
Windows Azureに触れてくれていることはありがたいことだ。まだビジネス面での活動を
本格化していない我々にとって、認知を広げてくれるのは助かる。
残念ながらスピーカーは私ではないが、詳細は14:25からのセッションで。

Comment(0)