ダークサイドに堕ちた唯冠科技が「iPadを中国全土で販売差し止めてやろう」と画策して1200億円の損害賠償を主張
先日のエントリーにて、「iPad」という商標を中国本土で使ってはいけない、という判決が中国国内の裁判所から示されたとお伝えしましたが、その後、予想通り、iPad商標の中国内での権利を有する唯冠科技から損害賠償の訴えが提示されました。その額、1200億円(100億元)とのこと。
『9日付の中国紙、南方都市報によると、広東省深セン市のIT関連企業、唯冠科技が米アップルを相手取り、中国国内で唯冠科技がもつ「iPad」の商標権を侵害されたとして100億元(約1200億円)の損害賠償を求める裁判を同市人民法院(地裁)に起こした。同時にアップルのタブレット端末「iPad」の中国での販売差し止めを求める仮処分も申し立てた。
唯冠科技の台湾親会社が2000年に全世界で「iPad」を商標登録し、01年に唯冠科技が中国で登録していたため、アップルは09年、唯冠台北から「iPad」の商標を買い取る一方、中国国内での商標権の確認を求めて唯冠科技を訴えていた。だが同法院は今月5日、中国の商標権は唯冠科技に属するとしてアップルの訴えを棄却した。』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111209-00000007-fsi-bus_all
商標権があまりにも高額になる場合、アップルは「iPad」という表現を諦めて、名称の変更(漢字の当て字を用いる等)の可能性もあると取り沙汰されてきましたが、それが俄然実現性を帯びてきた様相です。
中国では、アップル社は「蘋果公司」という音の当て字で表現することもできますし、スティーブ・ジョブズも「史蒂夫·乔布斯」と表現できるのですから、iPadも漢字表記で統一してしまえ、という決断が下されることがあってもおかしくはありません。
実際、日本ではiPhoneを日本語表記するには、アイフォンではなくて「アイフォーン」としなければならなかったのは、その商標を日本の別の企業が登録していたからです。
『アイホン、iPhoneの商標問題でAppleと「友好的合意」』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/24/news102.html
今分かっている情報から察する限りでは、このまま正面から戦っても、アップルが敗訴することは間違いないのではないかと思えます。なにせ、訴えを起こしている企業はリーマンショック後の経営不振ですでに銀行による資産接収がなされ、北京のコンサルティング会社「和君創業」が管財人となっているとのことですから、これは明らかに金目当ての訴訟であることは疑いようがなく、もしアップルが商標の譲渡を狙うなら、先の損害賠償金に加えてさらに多額を要求されることでしょう。
「取れるところから可能な限りふんだくる」
そういうマインドを持ったところと円満な交渉は期待できません。ならば、いっその事、iPadを使用しなくてもアップルは全然困らないという状況を自ら引き起こすことで、肩透かしを食らわせてやればいいではないか、と思う次第です。