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情報格差などがもたらす情報社会の問題について考える

「情報弱者」ってどんな人か考えてみませんか?

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最近、あちこちで、「情報弱者」または「情弱」という言葉を見かけませんか?そこで、なんとなく、PCやITに弱い人とか、活字離れした人というイメージを抱いていませんか?

なお、「情報弱者」については、一般的に、以下のように、情報・通信技術を活用した情報提供サービスにアクセスしづらい人という定義がなされていることが多いです。
様々な理由から、パソコンやインターネットをはじめとする情報・通信技術の利用に困難を抱える人。
出典:IT用語辞典 e-Words 「情報弱者」
そういった人をなくすために、政府では、総務省により、情報バリアフリー環境の整備がなされ「情報アクセシビリティ」の確保などが行われています。

しかし、知っておいて欲しいことは、「情報バリアフリー」や「情報アクセシビリティ」などが対象とする情報は、多くの場合、ICT(情報通信技術)分野に限られていることです。例えば、インターネット(Webサイト)やTVなどのメディアが対象になっていることです。

特に、情報は、メディアだけでなく、人間同士のコミュニケーションなどでも存在するということを意識して欲しいです。ここで、情報を人間の立場から考えてみましょう。


情報は知覚を通して、認識され、それを通して活用するプロセスを踏んでいることはよく知られていますが、その知覚に何らかの要因があって、「情報弱者」となっている人がいることをご存知でしょうか。

良く言われているのは、五感による知覚の割合は、以下のように「見た目8割」となっています。

・視覚…83%
・聴覚…11%
・嗅覚…3.5%
・触覚…1.5%
・味覚…1%

「見えるもの」としての視覚情報は、インパクトがあり、文字や映像として残すことができるため、信頼性が高いものですね。そう言った意味では、目にハンディのある「視覚障がい者」や読み書きの不得手な読字障害(ディスレクシア)などの「学習障がい者」や読み書き能力(リテラシー)の不足している方は、情報弱者になる可能性が高いです。

その他の四感の「見えないもの」については、見えないだけになかなか理解しづらいと思います。特に聴覚情報は、11%と少ないですが、こちらには、コミュニケーションによって、お互いの考えている事をやり取りする事で、理解を深めることができる重要な情報が含まれています。

また、アメリカUCLA大学の心理学者アルバート・メラビアン博士のコミュニケーションに関する実験結果、以下のようになりました。

 ・Visual(視覚情報:見た目<表情・視線など>)… 55%
 ・Vocal(聴覚情報:声と話し方<質・速さ・声の大きさ・口調など>)… 38%
 ・Verbal(言語情報:言葉の意味・話の内容など)… 7%

ここでも視覚情報が重要な情報源であることが分かりますね。

そこで、想像してみて下さい。

もし耳から入る情報が、「○☆□×※~」になり、さっぱり分からない状態になってしまうとどうでしょうか?

・会社の中で上司の口頭による命令が分からなくなってしない、仕事に支障が出てしまい、給料が下がってしまうでしょう。
・病院でも医者の説明が分からなくなってしまい、適切な治療を選択する事が出来なくなってしまい、健康状態に影響が及ぶでしょう。
・大好きだった映画も字幕がないと理解する事が出来なくなり、つまらなくなってしまうでしょう。

「見た目8割」だから、見えれば良いと考えやすいですが、実は、音声言語も大切な働きをしているんですね。普段、何気なく聞き流しているかもしれない「音声言語」ですが、これを色んな理由で上手く使えない人たちがいます。例えば以下のような方です。

(1) 加齢によって耳が遠くなってしまった人:400万人以上(85歳以上)の内の一部 (*1)
(2) 聴覚障がい者:30万人以上 (*2)
(3) 生活で使用する言葉が母語(生まれ育った言語)でない人(在留外国人):200万人以上 (*3)

(2)に関しては、東京都では、7500件以上の通訳派遣が行われたという実績が有ります。(*4)
(3)に関しては、在留外国人の一部の方が使用言語に不自由しており、神奈川県では、外国人向けの医療通訳派遣が3000件以上行われたという実績が有ります。(*5)

ざっと見ただけでも数十万人ぐらいの方が「音声言語」が不得手な「情報弱者」である可能性が高いです。
100人に1人はそういった人が居ることになるので、もしかしたら、あなたの周りにも居るかもしれませんね。

グローバル化・高齢化が進み、また、突発性難聴など、いつ不測の事態が発生するとも限らないので、他人事ではないでしょう。

私たちはこういった「情報弱者」にも関心をもってサポートしていくべきでしょう。

*1:総務省統計局:平成22年国勢調査結果確定人口に基づく改定数値(H23年6月1日現在)より
*2:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部:平成23年生活のしづらさなどに関する調査より
*3:H24年法務省在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表より
*4:東京都障害者計画 京都障害者計画 第3期 東京都障害福祉計画 3期 東京都障害福祉計画(計画本文P97)より
*5:特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ:2011年度事業報告書より

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