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グローバル化する地球の中に、日本はどう立つのかを考える日々

日本のiPadがSIMロック確定で、どう買うか。

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前回のエントリで輸入した場合のコストなど検討したわけだが、やはり日本国内で販売されるiPadはSIMロックされてるということがわかって、さてどう買おうかと。

どうiPadを買うべきかコスト試算しつつ考えた。SIMロックをどう評価すべきか悩ましい。
http://blogs.itmedia.co.jp/ibamoto/2010/05/ipadsim-b5de.html

値段の話は前回のエントリに。縛りがあるのにインセンティブがほぼ無いのは、日本の既存の携帯文化のコンテクストから言っても納得が難しい部分ではある。

じゃあいいよと輸入しいざ使うとなると、回線速度がネックになってくる。
国内で買った場合は、混雑しているとはいえ、一応7.2Mのソフトバンク回線が使える。
一方、輸入の場合は、ドコモがSIMを出さなくなったとのことで、b-mobileの300kの回線を使うことになる。

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#余談だが、NTT DoCoMoレベルの会社で、ここまでずっとApple社が日本もSIMフリー端末で来るとの根拠無しに、それを前提としてSIM単体販売の話をしていたのかと思うと不思議である。Apple本社との繋がりを持つ海外渉外部局が西海岸に設置してあるべきだと思うのだが。

Samsungには地域専門家制度というものがあり、その地域の生活・風土風俗・情報に徹底して馴染み収集する専門家を世界各国で養成・配置し常に情報収集に努めている。

秘密情報の内容のうち9割は公開情報の蓄積・整理から類推できるというのはインテリジェンスの基本である(オープン・ソース・インテリジェンス:Open source intelligence)。

結局、日本は太平洋戦争で、国際連盟内の空気の変化、同盟の崩壊など数々の場面で情報を得られずに、得た情報も咀嚼して理解すること無しに、根拠無い前提の元敗北へと突き進んだ。

今回のドコモの様子を見て、日本は未だ変わっていない、学んでいないと思った。
「ものつくり」だけでは何も生まない。作る努力の5倍は売る努力(製品を理解して対価を払って買ってもらうためのコミュニケーション)が必要で、だから市場調査・広告・PRなどのマーケティングの方が高付加価値であることが多い。

ドコモは、SIM単体製品は造ったが、売る努力、売る努力をするための情報収集に欠けていたのである。

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300kだと、安定はしているだろうが実測値はもっと低いわけで、現在の感覚だとメールさえちょっときつい。
さすがに混雑していてもソフトバンク回線の方が早いことの方が多いだろう。

そう考えると、iPadを実際海外でシチュエーションがあるのかというと、こんな高価なデバイスは3Gでしか繋がらないような外で見せびらかしてたら危ないとなるわけで、あまりないだろう。(普通に使えるような安全な所だと、特に米国だとWiFIも通じていそう。大体学会とかがある会場にはまずWiFIがあるわけだし。)

2年後以降月々割が無くなり、通信量が月4410円まで上がってしまうが、Pocket WiFiなどの逃げ道もあるというのもあり、また2年後はどうせ新機種が出ているはずであり、なら国内での使いやすさに絞って諦め混じりでソフトバンク回線で契約と言うことになるだろう。

と一定の結論づけると、次はおそらく6月7日のiPhone HD??の発表と、Appleに振られたドコモの次の一手が焦点になるだろう。

Android端末という話は当然あるわけだが、気になるのはPalm
先日、HPがPalmを買収して、WebOSを活用すると言うことになったわけだが、

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HPは何故Palmを買収し、スマートフォン市場は今後どうなるのだろうか
http://blogs.itmedia.co.jp/ibamoto/2010/04/hppalm-466e.html
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JornadaやiPAQといったPDAをこれまで国内で販売してきたHPからいって、また日本ではPalmが普及していた時代があった(全然製品別物だけど)ことからも、日本でのPalm端末を発売を模索することは間違いないだろう。

そこでもしドコモがコンテンツ流通業者としての道ではなく、データAPRUに注力してデータ通信用単体SIMを売りまくりたいと本気で思うなら、PalmをSIMフリー端末として発売して欲しいと交渉に動くのではないか。

(ドコモのSIMロックという可能性もあるが、ドコモは自由ならほっといても殆どの人が選択するだろうことを考えると、ソフトバンクよりもロックに対する熱意は薄いはず)

またKDDIは、Android機のIS001に代表されるように、日本の既存の携帯文化のコンテクストに適合するようにスマートフォンを改良する宇事に熱心である。

おそらく、KCP+の失敗もあり、LTE化後のCDMA-2000との併存期を戦い抜くために、両方の電波に対応することが容易だろうAndroidを基礎にしながら既存の携帯ビジネスモデル(端末販売と紐付いた回線販売+コンテンツ流通)の延命を図り、残存者利益を得ようとしているのではないか。

携帯電話大手3社、市場の飽和と既存のビジネスモデルの融解を前にして、三者三様の方向性を向き牽制し合っているように見える。
このあたりの駆け引きが今後の見物となってくるだろう。
今年の夏は、携帯産業にとって時代の節目となる暑い夏になりそうである。

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