数年前は大笑いされたホット"エリア"
いつのことだったか、正確には思い出せないけれど、取材先で声を上げて笑われたことがある。本人は意識していなかったのだろうけど、防衛本能でも働いたのだろうか?
「ホットスポットが"スポット"ではなくて、"エリア"になればワイヤレスWANの世界にも少なからぬ影響を及ぼしますよね」
と話したところ、ある携帯電話のネットワークオペレータ(キャリア)の人が
「無線LANみたいな仕組みを面で展開するって本気でできると思いますか?」
と余裕の表情で笑った。WANとLANの違いもわからんのか。この小僧は。そう思ったのかも知れない。
今なら多少は事情が異なるのだろうが、当時はまだFomaが始まったばかりのタイミング。WANの広帯域通信にも、今よりもずっと可能性を夢見ることができた時代。確かに3Gが悪いとは言わないけれど、たかだか数倍程度の電波利用効率しかないのに、ワイヤレスブロードバンドとぶちあげられては、ちょっと反論もしたくなる。
そのころはもう昔のこと。別に恨んじゃいないけれど、同じように話をしていても、PHSな人たちは、同じ話題でも素直に反応してくれた。PHSとLANはある意味、似たもの同士だからだろう。有限資産の電波を利用してアプリケーションを組み立てるのなら、カバーエリアが小さい方がやりやすい。セルを共有するユーザー数が少なくなるからだ。
とはいえコストの問題はあった上、2.4GHz帯は事実上、クロストークを考えると3チャンネルしか利用できないという大きな障害もあった。しかし5GHz帯の屋外解放チャンネルが5つ追加された今ならば、なんとか行けそう。
なんて思っていたら、今週、その手の発表があるらしい。面で無線LANが展開すると、どんなアプリケーションが生まれるのか。とりあえずインフラを作ることで、何かが変わる下地にはなるだろう。どのように世の中が変化していくのか。いや本当に楽しみ。