Agile Japan 2011(基調講演2) USP研究所の當仲さん
2つ目の基調講演は、USP研究所の當仲さんにお願いしました。當仲さんには、AgileJapan2009でも、良品計画のシステム構築事例のお話をして頂きました(PDF版こちら)。ユーザと密着して、UNIXのシェルスクリプトとテキストファイルを使って、すばやくシステムを組み上げ、それを試作として練り上げる形でユーザの運用にあったシステムを提供していく考え方です。
當仲さんを選んだ訳は、「ワークスタイルとしてのアジャイル」、「考え方としてのアジャイル」について共有したかったからです。
ぼくは、アジャイルを最初、プログラマの復権運動だと考えていました。しかし、徐々に、アジャイルはビジネス価値を高めるための、1つのツールだ、と考えるに至りました。ビジネスの成功のための手段だと。しかし、近年、それも違っていたと気づきました。アジャイルは、ビジネスからプログラミングまで、それらを縦に貫く、1つの「態度」であり、「具体実践」であり、「考え方」であり、「ワークスタイル」ではないかと。
當仲さんは、アジャイル、という言葉を全く使わなくても、その顧客密着型の開発スタイルはアジャイルそのものです。そのコアにある部分を、存分に話して頂きたいと考えています。
実は、先日基調講演のお願いに行ったとき(写真)、當仲さんとは、同い年であることが判明、大いに盛り上がりました。その一部は、USP Magazine (3/4 創刊)で紹介される予定です。ちょっと一部を引用します。
當仲さん談: 2、30年前は、オフコンとか電算室とかで会社のシステムを作っていましたよね。コンピュータを買うと、操作マニュアルがついていて、そのマニュアルを見ながら社内の人間がプログラミングをしていました。「作り手」と「使い手」、お互いの顔が見えていた時代です。 その後、アプリケーションソフトとか、パッケージができはじめて、出来合いのものを買って利用するという風に変わってきた。コンピュータの中身はブラックボックスにした方が、ビジネス的にはよいだとかの力学が働いて、システムの「作り手」と「使い手」が分離している状態になってしまいました。ですが、コンピュータそのものがこんなに進化して効率よく処理ができるようになってきているのですから、今のお化けみたいなソフトウェアや業務システムを一度整理しなおして、素直な形で使ったほうがいいのではないかと考えています。ビジネスで使う業務系のシステムは、理屈そのものはそんなに進歩しているわけではありません。だったらシステムを「なんでもできる魔法の箱」として提供するのではなく、コンピュータを電卓として素直に使って、ビジネスに合う提案をしていきたいのです。
当日の講演の題名も、力が入っています!
立ち上がれ、「義理・人情プログラマ」
〜UNIX哲学原点回帰による「使う人」「作る人」の二人三脚開発のススメ〜ビジネスにおいて、IT技術は元来、業務を効率的、効果的に行えるようにするための優れた道具であるべきだが、我々技術者は「業務」という観点抜きにIT技術を語り、技術のための技術に固執している傾向がないだろうか。業務システムに求められる「ハヤさ」「ヤスさ」「ヤワラカさ」を実現する技術は、意外なことに40年も昔からあるUNIXの哲学が示唆している。本基調講演では、UNIXの思想を背景とする「古くて新しい」開発手法「ユニケージ」の事例を元に、システムを「作る人」と「使う人」の新しい関係と、IT技術者が仕事を通じて「社会や人の役にたつ」方法について提言する。
AgileJapan 2011は、4/15 金曜日。
申し込みはこちらです。(まだ早割りききます。)
http://www.agilejapan.org/aj_registration.html